帰るべき理由
ドレヴァンツ中佐たちの謀略事件から「叛逆部隊」として飛び続けてきた僕らの素性を、クライスラー大佐は参謀本部に報告した。いや、報告する羽目になった。ZOE-XX02によって攻撃を受けたカノンシードの乗組員は、死者3、重軽傷者ほとんどという状況でエルアノに戻ってきたが、港にたどり着いたカノンシードを見て僕らはさすがに驚いたものだった。飛行甲板は二度と使用出来ないほどめくれ、船体も歪んでいる。もう少し早くキニアスを食い止められていれば、と胸が痛むのは仕方なかったろう。だが、そんな僕らに対し、アルウォール艦長は「よくやってくれた」と言い、自らも決して軽くない怪我を負っているはずなのに平然と立って、僕らの肩を叩いていった。もっともその後、医務室で診断を受けた艦長は肋骨4本骨折、左手首骨折、打撲多数、という有様で即個室に監禁となってしまったのだったが。これで僕らの部隊は、ガイヤ大尉に足を撃ち抜かれたクライスラー大佐も含め、司令官が負傷中という状態になってしまったわけだ。ただ、カノンシードの囮作戦が得たものは大きく、9103飛行隊を司令官の独自の判断で動かしていたことを含め、グランダー・インダストリーが戦争の裏で繰り広げていた謀略、そしてベルカ残党の存在、さらに「シュヴェルトライテ」を名乗るベルカの航空隊を追跡していたことを、艦長と大佐は海軍司令部や参謀本部に対して膨大な証拠と共に明らかにしたのだった。そして、ベルカとグランダーの産み出した怪物、ZOE-XX02が手中にあることも……。
もう二度と戦闘機乗りとして空を舞うことが出来ないかもしれない、と覚悟を決めていた僕らに対し、参謀本部からの命令は意外なものとなった。ヘンダーソン参謀総長の名で下された命令は、「12月30日2200時より重大発表が行われる。ドラグーン戦隊は出撃体制のうえ待機せよ。仔細は2200時に改めて伝達する」というものだったのだ。それを伝えたクライスラー大佐ですら首を傾げている有様だったが、少なくとも、僕らのオーシアが数日前までとは違う国になった――いや、そもそも戦争が始まる前のオーシアに戻りつつある、そんな感触がした。何より、軍令部や参謀本部に虚偽の報告を続け、僕らを独立戦隊として扱っていた大佐と艦長に対して懲罰処分が下されなかったのは、少し前までの参謀本部のやり方とは大違いであった。
「しかし、2200時に重大発表、って何をやらかすんだ?出撃体制、ってのが引っかかる」
ガイヤ大尉の問いには同感だった。ユークトバニアに対する作戦行動だとしたらうんざりであるが、どうやらそんな話ではないらしい。クライスラー大佐も首を振って、分からない、と答えた。
「ただ、少なくともこの何ヶ月か、私が受け取った参謀本部からの命令にヘンダーソン参謀総長からのものは無かった。諸君らも薄々気が付いているだろうが、オーレッドではやはり何かあったらしい。海軍司令部からも同じような回答と、海兵隊司令部のマシューズ少将から、"貴隊の奮闘に感謝する、オーレッドで再会しよう"とアルウォール艦長へのメッセージまで預ったよ。ひょっとしたら、首都に在るべき人が本当に復活したのかもしれない」
首都に在るべき人――この国の国家元首にして三軍の指揮官である、大統領――ハーリング大統領、か。
「確かに、オーシアがこの数ヶ月進めてきた戦争には不審な点が少なくありません。あれほどまで融和に努めてきた大統領が、突然ユークトバニアへの積極的侵攻に転ずるなんて信じられませんでしたからね。でも、その大統領を排除していた、というなら、オーシア政府の政策転換も理解できます」
「ウォーレン大尉の言う通りだ。ちょうどユークへの侵攻が決まった辺りから、この国の政策は変わっていった。軍部も同様だ。気が付いたら、積極的侵攻を推し進める連中ばかり、さらには昔大統領たちに追放された御仁まで復帰していたからな。……私たちは、もっと早く異変に気が付いておくべきだったのかもしれない。いや、むしろ私たちは幸運だったのかな?この戦争の背後にあるものに既に気が付いていたのだからね」
「言うことを聞かない独立愚連隊のしでかした事件でね」
ガイヤ大尉がニヤリと笑うの同様に、クライスラー大佐も笑みを浮かべて視線が交錯した。それにしても、大佐は変わった、と感じる。いや、むしろこれが大佐の地であって、冷徹クライスラーが作られた存在だったのかもしれない。今の大佐は、間違いなく信頼すべき僕らの上官と言えた。ガイヤ大尉が何だかんだと言いながらもそんな大佐を信頼しているからなのだろう。カノンシードの面々が、アルウォール艦長を信頼しているのと同じように――。
「いずれにせよ、参謀本部からの命令だ。ドラグーン戦隊は全機出撃準備、搭乗員はブリーフィングルームに2100時に集合とする。それまでの間は基地内で待機しているように。解散!」
集合時間まであと12時間、準備等を考えても十分に時間がある。今日、やっておきたいことが僕にはあるのだ。ふとガイヤ大尉と視線が合うと、またいつものニヤリが顔に浮かんでいた。近寄ってきた大尉はいきなり僕の頭を抱え込むと、嬉しそうに言った。
「アネカワ、お守りのチャンスだ。しっかりとやってこいよ」
……だから、お守りって一体何なんだ?
医療設備は整っているとはいえ、病院並みのベットは確保していないエルアノ基地の廊下には、手当てを受けたカノンシードの乗組員たちが溢れていた。重傷者から優先的に個室とベットが与えられるので、腕を骨折していても歩ける者は容赦なく廊下行きとなっていたのである。僕は重傷者たちが集められている区画の一角の個室のドアをノックした。
「アネカワだけど、今、いいかな?」
「どうぞ、鍵は開いてます」
返ってきた声は、本人の怪我の程度を考えれば元気というか、生気が溢れているように感じられた。スマキア伍長はベットで身体を起こしながら、本を読んでいる最中だった。腕に巻かれた包帯とギブス、顔のガーゼのパジャマ姿は痛々しくもあったが、スマキア伍長が元気そうなので、ほっと安堵のため息を吐いた。僕はベット脇のパイプ椅子に腰を下ろした。何を話そうか、と考えた僕の口から出たのは、結局月並みな言葉だった。
「怪我の具合は?」
「まだ痛み止めが切れると痛みますけれども、昨日よりは楽になりました。……まぁ、昨日は治療もなしに船に揺られていたわけで、楽にはなりますよね」
ちょろっと舌を出して笑う彼女だが、エルアノに到着するなり彼女は重傷者の群れに混じって、担架で運ばれてきたのだ。さすがにそれを見たときは動転してしまい、看護士にしつこく状況を聞くのをガイヤ大尉たちに見つかって笑い飛ばされることになったわけだが……何にしても、目の前にいる彼女がそんな素振りも見せないことに僕はようやく安心したものだった。
「あの……アネカワ中尉、色々と心配をかけてすみませんでした」
「え?」
「ガイヤ大尉が朝いらっしゃったとき、"アネカワの奴が随分と心配していたんだから安心させてやれよ"、って。確かに、昨日は気を失ってしまって、担架で運ばれたんですよね、私?」
ガイヤ大尉はお見通し、というわけだ。さすがは、人生の先輩というか、おせっかい焼きというのか……。そのガイヤ大尉はようやく愛する奥様に連絡を取ることが出来たものの、電話口から怒鳴っている声が聞こえてくるほどの奥様の大声で、背中を丸めながら謝っているところを見かけてしまった。あのガイヤ大尉を言い負かすんだから男顔負けの女傑なのかと思いきや、大柄な大尉の胸ぐらいの高さの可愛らしい女性なのだから不思議なものである。ちなみに奥様は既に病院にいるようで、一人目に続いて出産に立ち会わなかった旦那に対してご立腹なのさ、というのは隣で笑いを堪えていたグレッグ中尉の言葉だ。そのグレッグ中尉は後刻大尉に捕まってひどく飲まされたようで、今日のブリーフィングでは完全に沈没していた。
「……昨日は、すまなかった。もっと早く僕たちが敵を……キニアスたちを捉えていれば、カノンシードがあんなことになることも、君が怪我することもなかったのに……」
そう、いつもそうなのだ。ローゼズ大尉のときも、ザウケン少尉のときも。気が付いたときには、いつもトゥー・レイト。カノンシードが帰還できたのは奇跡が起こったからであって、やはり先手は敵に撃たれていた。膝の上で握り締めた僕の拳に温かいものが触れる。伍長が、自由な腕の手の平を僕の拳に置いていた。そして伍長は首をふるふると振った。いつもとは違い、下ろした髪が揺れる。
「いつもいつも、戦っているのはアネカワ中尉たちで、私は何の役にも立てなかった……出来ることなら、私だって中尉たちと一緒に戦いたい。多分、艦長たちも同じ気持ちだったと思います。それに、私はずっと信じていました。必ず、中尉たちが敵を倒して帰ってきてくれる、って。だから、そんなこと言わないで下さい。中尉が、精一杯みんなのために戦ってくれていること、私は良く知っているんですから……」
伍長はそこまで言うと俯き、前髪が顔を覆い隠した。僕は拳に乗せられた彼女の手を両手で包み込んだ。僕のごつごつの手とは全く異なる、細くて柔らかい感触に改めて伍長が女性であることを認識させられる。彼女の細い指が、僕の手を軽く握り返してきた。
「……また、出撃するんですよね?」
不安そうな瞳が、前髪の向こうから僕を見つめる。
「……うん。今日の2200時、参謀本部から重大発表が行われるらしい。僕らは2100時にブリーフィングルームで待機、全機戦闘態勢で待機というからには、どこかしらへの出撃命令が出されるんだと思う。でも、ユークと戦うのではなさそうなんだ。……もしかしたら、僕ら以外にも戦争の舞台裏に気が付いた人たちがいるのかもしれない。それに、キニアスは倒したけど、もう一機のZOE-XX02が残っている。……僕らが、最後まで面倒見ないと」
彼女が手を引く気配を感じたので少し名残惜しい感触を手放すと、彼女は手を首の後ろに回し、身に付けていた銀色のネックレスを取り外した。片手で器用に外すもんだ、と見ていたら、彼女はそのネックレスを僕に差し出しながら言った。
「これ、お貸しします。今日は、中尉と一緒に戦うことが出来ないから……これ、おばあちゃんの形見なんです。私の……私の大切なお守りなんですから、必ず返しに来てくださいね。約束ですよ?」
無理に笑おうとした彼女の声は、少しかすれていた。もちろん、これまでの人生、人を好きになったことも有るし振られたこともある。決して経験が多いということは無かったが、無理に笑おうとして肩を震わしているスマキア伍長を、僕は自然と抱き寄せていた。手の平だけでない、温かい感触が僕の身体に染み渡る。日向の匂いのする髪の毛がふわりと鼻腔をくすぐり、自分でしておきながら僕は耳まで真っ赤になっていた。
「大丈夫、必ず、必ず返しに来るよ。それに僕は独りじゃない。ガイヤ大尉たちもいるし、大佐たちもいる。それに……お守りを貸してくれた伍長も一緒だ。必ず、ここに帰ってくるから」
はい、と頷いた彼女は、僕が一番見たかった満面の笑みを浮かべてくれた。絶対に生還する理由がまた一つ、僕には増えた瞬間だった。
エルアノの日が暮れるのは早く、あっという間に冬の夜が訪れる。出撃準備で整備兵たちが慌しく駆け回っていた格納庫も今では静まり返り、ハンガーの前には僕らの愛機がフル武装で並んでいた。まだ集合時間でもないのにブリーフィングルームは男たちが集まり始め、参謀本部の告げた重大発表とやらの到着を待ちながら時間を潰し始める。部屋で音楽を聞く気にもなれなかった僕は、ケネスフィード中尉の次に部屋のベンチに腰を下ろし、中尉の苦笑を誘ったものである。"いい若いモンが、他にやることはないのか"、と。ようやく少し落ち着いて携帯プレーヤーのイヤホンを当てて、僕は久しぶりにしばらく聴いてなかった曲をセレクトした。僕が子供だった頃に流行した――15年前の戦争のときに大ヒットしたあの曲、「Journey Home」。何かに集中したいときにはこの曲が一番と相場は決まっていた。目を閉じて外の景色を消して、僕は耳から流れてくる旋律と歌声に身を任せた。9103に配属されてからの日々。繰り広げてきた戦いや苦しい出来事。出会いと別れ。そして手に入れた帰還すべき新たな理由――。そんなことを考えているうちに、僕はしばらくの間眠ってしまったらしい。ガイヤ大尉に頭を小突かれて「余裕だな」と笑われてから僕は現実に戻った。壁の時計は20時半を既に回っていて、ドラグーン戦隊の面子は全員揃っていた。
「こんなときだけは早いものだな、諸君」
クライスラー大佐が杖を突きながら入室してきたのを、僕らは敬礼で迎えた。すると、叛逆者になってからのほうが規律が守られているとはな、と冗談とも本気とも取れる呟きが返ってきた。大佐はいつものように書類を広げ、今ではすっかりと副官業務が板に付いてしまったマイカルがノート端末を開いてケーブルを接続していく。大佐から手渡されたメモの束をガイヤ大尉がぽんと投げ、僕は受け取った束を早速開いてみることにした。そこに添付されていたのは、すっかりと見慣れてしまった地域の地図。ただ、僕らが知っているものよりもさらに詳細に情報が書き込まれた地図には、衛星写真らしき画像も添付されていた。
「つい先ほど、参謀本部から新たな情報が提供された。もう今更説明する必要もなかろうが、君たちに飛んでもらうのはその地図の場所――画面を見てくれ、そう、ノース・オーシア・グランダー・インダストリーが本拠を置く南ベルカの、さらにその中枢部だ。どうやら、ベルカの残党軍の他に、我が国やユークトバニアの主戦派の将軍達が、本国の意志とは別に部隊を動かしてこの地域に集まりつつあるようだ。……ベルカは何か餌を彼らの前に釣ったのかもしれない。それからもう一つ。今日の夕刻、セレス海に展開していた航空母艦ケストレルが、オーシア海軍の潜水艦の攻撃によって撃沈された」
一同の間にどよめきが起こった。ケネスフィード大尉ですら、ぴくり、と眉を動かした。何だって?ケストレルが、オーシアの潜水艦にだって!?
「昨日、航空母艦ケストレルはユークトバニアの一個艦隊と、サイモン少将が率いていた第1艦隊分遣隊と戦闘を行い、半個艦隊にも満たない戦力で両艦隊を撃破している。しかも、ほとんど無傷でだ。どうやら、私たちと同様に、彼らには頼りになる航空戦力がいるらしい」
「例えば……噂のラーズグリーズとか?」
クライスラー大佐が頷いた。そう、最近オーシア・ユークトバニアを問わず出没する謎の航空隊の噂が広まっている。漆黒の翼を持つ凄腕の戦闘機部隊を直接見たものは少ないが、ユークトバニアに現れた彼らはレジスタンスたちの支援をしていたという話まで伝わってきている。敵対する者に徹底的な破壊をもたらすその姿から、彼らは第108戦術戦闘飛行隊の亡霊だと言う者までいる。
「そのケストレルが狙われたのは、オーシアを牛耳りたくて仕方が無い連中の仕業であることは間違いない。そして、その後ろにはベルカがいる。ケストレル隊は首都オーレッドを目指していたというから、彼らは彼らで何か極めて重要な情報を持っていたのだろう。――彼らは、私たちの同志だ。参謀本部からの命令を、改めて伝える。ドラグーン戦隊は本日2200時を以って南ベルカ、ノース・オーシア・グランダー・インダストリー中枢に向けて出撃、先行して同地域に向かっている友軍部隊を、全力を挙げて支援せよ。なお、敵対勢力に対する攻撃は、各自の判断にて許可する、ということだ。もう一度地図を見たまえ」
ディスプレイに、友軍機の配備状況などが表示されていく。さらに、地図に僕らのメモにもある衛星写真が加えられていく。グランダーの中枢は、民間企業の本社ビル、というよりは針鼠のように武装した軍事拠点というものだった。対空SAMポケットに砲台群、滑走路に退避壕のような施設。恐らくは戦闘機も出てくるだろう。オーシアの繁栄の裏で、潤沢な資金を彼らはこのような形で使い続けていたのだ。そして戦争が始まってからは、オーシアとユーク双方から資金を荒稼ぎし、利鞘を稼いで自分たちの活動資金としていたわけだ。――全ては、ベルカの復活のために。その資金が流れた先の一つが、TAN-F計画の戦闘機たち――異形の、全てを壊滅させることを目的にした戦闘機たちだ。
「もはやこそこそと隠れている必要性は無い。最短距離で南ベルカへ向かいたまえ。参謀本部の命令ではないが、道を遮る敵機は全て排除せよ。そして、必ずこのエルアノに帰還すること。拒否は認めない、必ず生還したまえ。これが、9103、いや、ドラグーン戦隊の指揮官として下す、最後の命令だ」
クライスラー大佐はそこまで言い終わると、机に手をついて立ち上がり、敬礼を施した。僕らは反射的に立ち上がり、敬礼を返す。
「ガイヤ大尉、司令官殿の命令をありがたく頂戴致しました。ドラグーン戦隊、一人も欠くことなくここに帰還することを約束致します……命令とあっちゃ、従うしかありませんからな」
「そうですね。色々ありましたが、私もこの道を選択して良かったと思います。そうでなければ、こんな大舞台に立つこともなかったでしょうから。このハリー・ウォーレン、必ずや任務を果たし、帰還することを誓います」
「ケネスフィード、了解した」
「失礼ながら、冷徹と呼ばれた大佐殿とは思えない変貌振り、感激いたしました。ワルター・グレッグ中尉、粉骨砕身の覚悟で飛ばせて頂きます。なあ、アネカワ部隊長?」
皆の視線が、僕に注がれた。ウォーレン大尉は黙って頷き、ガイヤ大尉は人の悪い笑いを浮かべていた。そしてクライスラー大佐の視線が、僕の両眼にじっと向けられる。
「僕には……いえ、自分には、生きるべき理由が新しく出来ました。だから、必ず、ここに戻りたい、そう思います。アネカワ中尉、拝命いたしました!」
クライスラー大佐が一度頷き、そしてブリーフィングルームを今一度見渡した。そして、引き絞られた弓が放たれるかのように、その一言を放った。
「ドラグーン戦隊、出撃!この哀しい戦争に終止符を打つんだ!!」
必ず帰る。僕は胸元のポケットに入れたネックレスに手を当て、そう誓った。竜騎兵の最後の戦いが、今始まったのだ。