あとがきV


嘘八百です。でっちあげです。フィクションです。NAMCOさん、ごめんなさい。またも勝手に物語を書き上げてしまいました。そして、書いている間に「ACE COMBAT ZERO BELKAN WAR」の発売が決定し、私の物語は本当に「嘘八百」になることとなりました(笑)。ま、それはさておき。ラーズグリーズ・エイセスから始まったSSを今日まで読んで頂いた全ての読者の皆様に、「ありがとう」と言わせてください。AC05発売後、一年近くに渡って連載を続けることになろうとは当の本人も全く考えていなかった事態だったのですが、「15 years ago」の完結を以って、しばらく筆を休めようかな、と考えています。何しろ、「AC0」がうかうかしている間に発売となってしまいそうなので、それまでに再び英気を養っておかねば……というわけです。

「15 years ago」は、断片的にAC05の物語に登場する「15年前の大戦」を舞台として、「おやじさん」の視点から戦争を描いた物語、というわけで、これまでのものとは異なり敗戦国が舞台となりました。このため……救われません。友軍の兵士たちはどんどん死んでいきますし、ヒルデスブルクは完全に吹き飛んでしまいましたし。AC04の頃から書き続けてきているSSの中で、今回ほど人が死んでしまった物語は無いと思います。書いていて恐ろしくなることもありましたし、背筋が寒くなることもしばしばでした。ただ、AC05の一連の物語のテーマは決して戦争賛美ではありません。特にベルカ側の場合、大戦最後の「核攻撃」は絶対に外せないものであったため、『全ては炎の中に消えた』の話の中でヒルデスブルクは壊滅しました。私自身はそんな悲劇を実際に経験したことはありませんから、それがどれほどの悲しみを伴うものなのか、それは想像の範疇を出ません。しかし、もし自分の家族がそこに巻き込まれていたら――と考えながら書いていたら、あまりの喪失感と絶望に考えるのが嫌になってしまったほどでした。人間知らないほうがいい事もある。全くそのとおりです。そんな経験だけはごめんです。でも、現実世界においては、現実にその悲劇が日々繰り返されているのが、「現代」という時代でもあります。あくまでゲームを舞台にした物語でしかないのですが、AC05の物語は、「戦争」という悲劇に関して色々と考えることが出来る作品でもありました。ブレイズたち「解放者」としての戦争。グラーバクたちの「大義の達成」の戦争。大体後世の人間が呆れるような理由で「戦争」は始まるといいますが……。正直なところ、何が正しいのか、私には判断がつきかねるところがあります。が、「15 years ago」を読み終えた皆さん一人ひとりが、「戦争」って何なんだろう、と考えてもらえる機会になれば幸いです。きっと、乾坤一擲一戦あるのみ、と考えるのではなく、どうやったら「戦争」を回避できるのか、どうやったら「平和」を維持していけるのか、あたかもハーリングたちがそうであったように考えていくことが、実は現実でも必要なのだろう、と思います。戦争なんて、ろくな結果を招きはしないわけですからね。どうも最近、周辺諸国が少々きな臭くなってますが、勘弁してほしいものです。

とりあえず、「15 years ago」の完結を以って、AC05を舞台にした物語もようやく完結です。読み返してみますと書き直したほうがいいかな、という箇所も散見されるのでその辺はちょこちょこ、と直すとは思いますが、基本的なストーリーは何も変えないでしょう。約一年間、私の遅筆に付き合って頂きました皆さんにお礼を申し上げると共に、突然原稿を押し付けては推敲と誤字脱字チェックをやってくれたtagosakuさんに感謝感謝、というところです。あと一つ、短編の構想がありますが、これはまた後日、その日になったときに掲載することになりますので、これはこれでお待ち頂ければ幸いです。何はともあれ、一応の終着駅にたどり着いたことに、今日はグラスにウィスキーを並々と注いで乾杯することにします。では、ACE COMBAT ZERO、ベルカ戦争の空でまたお会いしましょう。Good Luck!!

2005.09.25 2010時
秋の虫の音を楽しみながら
masamune

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