たとえばこんな極西の飛行隊
「おい、おしゃべり小僧チョッパー」
「うっ、おれのあだ名はそれかい」
「お前には漫談の才能がある。一つあの偵察機に降伏勧告をやってみろ」
「どうぞご自分で」
「おれには人見知りの癖があってなぁ・・・とっととやれ」
「ちぇっ。あーあー」
(マイクの調子を確かめる声の後に、突然ぺしんと扇子をたたく音)
「『おいそこの偵察機さんよ』
『なんですかご隠居改まって』
『なんですかじゃないよおまいさんしらばっくれて。ネタぁ上がってんだよ』
『や、や、やぶから棒に言われてもあっしにはなんのことやら』
『おまいさん機体がもうイカれちまってんだろ?どーだいこの辺で休んでいっちゃ』
『こ、困りますよあっしにも都合ってもんが』
『なぁに悪いようにはしねえからよ、分かったらシフトダウンしてみなって』」
(扇子がぺしぺし鳴る)
(しばしの沈黙)
「・・・エッジよりチョッパー。それは漫談ではなく落語です。しかもオチがない」
「エッジいいツッコミだ、座布団一枚。ブレイズ、チョッパーから座布団全部取っとけ」
「えー!マジかよ渾身のネタだったのになー」
「というかお前今どうやって扇子叩いてたんだ」
「そりゃ努力してるさ、ブレイズお前はいいよなー、『はい』『いいえ』だけでウケ取れるんだから」
「・・・あっ。エッジより僚機へ。敵偵察機の墜落を確認」
「サンダーヘッドよりウォー・ドッグ隊へ。オチもついたので帰還せよ」
「オイラが今言おうと思ってたのによう」
「さすがサンダーヘッド、いい間合いだ。まだまだだなチョッパー。・・・全機帰投する!」
今日もサンド島は平和だった。