四騎
攻略メモ
ソーンツァ地方に、ユークトバニアの一大生産拠点が存在することが判明。この空域は連携したレーダー網が張り巡らされているが、同時に4箇所のレーダーを破壊することで察知されずに接近が可能になるということで、4機がそれぞれ別行動で進むミッション。敵拠点攻撃まではレーダー設備しか破壊するものが無いのでその点は楽なのだが、問題は攻撃タイミング。恐らくファーストプレイでは何度も失敗した人が多いはずだ。
攻撃のタイミングは、ナガセのカウントダウン。コツとしては、ナガセが「10秒前」と言ったタイミングで、レーダーまでの距離が1500程度ならスロットルの調整で難なく破壊出来る。「and……Now!」のタイミングでバルカン砲を発射する(このとき距離600以内)ことが出来れば破壊自体は可能なのだが……。下記の攻略を参考にして欲しい。
一つ目……10秒前に距離1500辺りにいられるよう速度を調整。早く着き過ぎたら旋回して時間調整。
二つ目……ナガセの「30秒前」のコール時に距離3000以内にいること。その後は一つ目と同じ。
三つ目……間隔が狭くなり、カウントダウンは「10秒前」からになる。寄り道せず直行すること。
四つ目……攻撃直前、チョッパーのレーダーが故障して仕切り直しになる。とはいえ、ほどなく攻撃開始となるので、旋回などをしてタイミングを合わせて攻撃すること(2周目以降はレーダートラブル発生がランダムに。ナガセやグリムの機体でもトラブルが発生するようになります)。
恐らく、これで何とかなるはず。
敵生産拠点攻撃自体はそれほど難易度は高くない。離陸しかかっている輸送機を落とし、上空に展開した戦闘機部隊を片っ端から撃墜して、後はゆっくり地上設備を潰していこう。
ミッションの性格上、爆弾を搭載できる戦闘機での出撃が望ましい。
登場敵機:C-5、F-14B、F-16CB60、Su-27、敵レーダー施設、敵生産拠点等
査問委員会から解放され首都からサンド島へ戻るや否や、今度は休む暇も与えられず俺たちは戦場の空にあった。自身の譴責だけでなく、部下までが疑惑の目を向けられたことによって、司令官殿の不機嫌は頂点に達していたと言うべきか。「もはや他に語ることが無い」と言い放った彼の顔がそう語っていた。もちろん、俺たちのことを心配してのことではなく、自身の出世に暗雲が立ち込め始めたからではあるが。
「かーっ、くそぉぉっ、戦場にトンボ帰りかよぉ」
飛び始めるや否やチョッパーの絶叫が響き渡る。俺も同感の気分だ。グリムは「時差ぼけで計器盤がぼやけて見えます」と言っていたが、俺も多少は時差ぼけの影響を受けていた。
「ダヴェンポート中尉、私語を慎め。既に作戦中だ」
そして管制機はいつも通りサンダーヘッド。開戦からの付き合いだが、彼の声に感情が感じられたことはほとんどない。チョッパーに言わせると「どこの喉アメなめるとそんなにいい声になるのか」ということらしいが、少なくとも作戦機のパイロットたちの気を引き締めるのには有効だとは俺も思う。
「こいつの声の聞こえないところに行きてぇぇ!なぁ、グリム」
「昨日まではいたんすけどね」
「ほっとけ!」
「……ウォー・ドッグ、念のため作戦内容を確認しておくが、君らの当面の目的はレーダー網の破壊だ。それも地点の異なる4地点を同時に破壊しなければならない。分かっているな?」
「ブレイズ了解。ナガセ中尉に攻撃タイミングの指示は一任する。アーチャー、チョッパー、カウント0で攻撃だ」
「ちょ、ちょっと待ったブービー、3、2、1、ゼロで攻撃だよな?」
「ああ、それがずれれば空襲警報が鳴って、敵の航空部隊が襲ってくる」
そう、俺たちの向かうユークの生産拠点に到達するには、途中に設けられたレーダー網を沈黙させなければならない。しかも、離れた4地点のレーダーを同時に破壊していかなければいかないのだ。これまで以上に、俺たちのチームワークが問われる作戦と言っても良いだろう。
「みんないい?攻撃まであと30秒、カウントダウンスタート!」
ナガセの凛とした声に気が引き締まる。大地の遠くに、レーダーの姿が見え始める。あれを30秒後に破壊できるようポジションを取らなければならない。早すぎても駄目、遅すぎても駄目。俺は慎重にスロットルを調整しながら機体の姿勢を保った。
「すまないブービー、合わせるのは攻撃タイミングではなく、破壊タイミングだよな?」
「そのとおりだ、チョッパー。落ち着いて行こうぜ、俺たちならきっと出来る!」
「そうだな、もう大丈夫だ。よし行こうぜ!」
チョッパーもらしくなく緊張しているようだ。そしてレーダーが目前に迫る。10秒という時間が果てしなく長く感じられる。失速ギリギリの速度までスロットルを絞り、HUDにレーダーを捉え続けるのはなかなか至難の業だった。
「3、2、1、今!」
ナガセの号令に合わせて、トリガーを引く。至近距離まで迫ったレーダーは瞬時に破壊され、破片が周囲一体に飛び散り、俺は衝突を避け急上昇して難を逃れる。冷や汗が背中を濡らし、不快な感覚が背中を包む。
「ふぃーっ、やれば出来るとはいえ、こりゃたまらんぜ、全く!」
「みんなまだ先は長いわよ、次の目標まであと30秒、カウントダウンスタート!」
次のレーダーにHUDを合わせ、また我慢の30秒。冷や汗は背中だけに留まらず、額にも滲み出す。
「10秒!」
レーダーまでの距離が1800余り。間に合わない!俺は機体を一気に加速させた。急加速で景色が飛ぶように流れ、レーダーが恐ろしい勢いで目前に迫ってくる。「0!」の声と共にトリガーを引き、レーダーの横をすり抜ける。成功!木っ端微塵になったレーダーが無残な残骸をさらす。そしてさらに次のレーダーを俺たちは破壊し、あと一つを残すのみとなった。
「最後の一つ、行くわよ!あと10秒」
これが最後。俺はHUDを睨み付けるようにしていた。
「ちょった待った!すまない、レーダートラブルだ。くそっ、こいつしっかれしやがれ!!」
ガツン、という衝撃音と悲鳴。大方チョッパーが膝蹴りをかましたのだろう。
「ああ、中尉、駄目ですよ。そんなことしたら直るものも直らなくなりますよ!」
「残念だなグリム、今ので直ったぜ。すまねぇ、仕切り直しだ」
機会いじりを趣味とするグリムにしてみれば、蹴っ飛ばして直すなど愚の骨頂というわけだ。
「ではカウントダウン、あと10秒!」
旋回してタイミングを取った俺は、高度をギリギリに保ちレーダーに狙いをつける。これさえ抜ければ、後は生産基地を叩くだけだ。
「3、2、1、今!」
トリガーを引き、レーダーを蜂の巣にして吹き飛ばす。スロットルを最大に叩き込み、俺は一気に上昇した。鎖に縛られていた翼が解き放たれたような気分だった。
山地帯の先に広がる生産拠点は、相当な規模の生産ラインであった。発電所だけでなく原油タンクまであるということは、兵器生産だけでなく様々なものがこの地で生み出されていたということになる。
「なるほどな。ユークは知られているその本来の生産力に比べて、過剰なほどの兵器や物資を生産していた。そのカラクリはこういった拠点があったから、というわけかい」
俺たちはまだ空襲に気が付いていない無防備な工場群に襲い掛かった。翼にぶら下げてきた爆弾を工場の建物目掛けて連続で投下していく。俺の飛行ルートに合わせるように、火柱が何本も吹き上がった。
「何だ!どうした!事故でも起こったのか!?」
「違う!敵だ、敵の戦闘機がやってきやがったんだ!!」
この期に及んで空襲に気が付いた基地の動きが慌しくなる。だが初動が遅れたのは敵にとって不幸であった。まだ作動していないうちに対空兵器の大半をアーチャーとチョッパーに破壊された基地は、俺たちに対する攻撃力を戦う前にもがれていた。俺たちの接近に気が付いたユーク軍のパトロール隊はナガセの手によって既に屠られ、パイロットたちのパラシュートが空しく宙を漂っている。
俺は滑走路に入ろうとしていた輸送機に狙いを定めた。あの中には生産されたばかりであろう兵器が詰まっている。逃がすわけにはいかなかった。1機を誘導路上で破壊し、1機は滑走路の上で吹き飛ばした。反転した俺は、滑走路を加速し間もなく上がろうとしていた1機のケツについた。
「うわあああっ。駄目だ振り切れないぞ!!」
俺はバルカン砲のトリガーを引いた。垂直尾翼を吹き飛ばされた輸送機は高度を下げ、滑走路上に墜落する。爆発の炎が、数十メートルにわたって滑走路を火の海に変えた。運悪く避難しようとしていた兵員たちの上に、輸送機の破片が容赦なく降り注ぐ。俺は思わず顔をしかめて上昇した。
「これほどの対空火器に生産ライン。隊長、何か匂いませんか?」
上空から生産ラインを攻撃していたグリムは、何かに気が付いたようだった。
「ここ、ひょっとしたら単なる物資生産拠点ではなく新兵器開発拠点じゃないですかね。おかしいんですよ。向こうにはカーボンコンポジットの生産ラインまである。単なる生産拠点というなら、そんなものは必要ないはずです」
「グリムの言う通りかもしれない。なら、尚更そのまま残しておくわけにはいかないな」
「オーケーブービー、さっさと潰すだけ潰して引き上げようぜ。……こういう工場じゃ、兵員だけってわけにもいかねぇしな」
俺たちは残弾を全て使い尽くすまで反復攻撃を行い、そして工場の生産ラインを完全に破壊した。俺たちの空からの攻撃にタイミングを合わせて進撃を開始した陸軍部隊が基地に突入したときには、敵部隊は戦うことなく白旗を掲げていたのである。
「終わったな……。」
チョッパーの呟きはいつになく疲労の色が感じられた。
「帰りましょう、私たちの基地へ」
ナガセの声も落ち込んでいた。俺だって似たようなものだろう。時差ぼけに超過労働を強いられた身体には、かなりの負担であることは間違いない。
「……ナガセ」
「え?」
「その台詞は、もう少し気合の入った声で言うもんだぜ。……元気出せ」
「チョッパーも」
「へへっ、そうだな。ありがとよ」
サンド島への帰路につく4機。だが、俺たちは限りなく細い綱の上を何とかバランスを取って渡っているだけだ。俺は一体何のために戦っていたのか。そう、俺はみんなを無事に生還させるために戦っているんだ。俺は自分に誓ったはずの目的を改めて思い出そうとしていた。そうでもしていないと、俺は俺でなくなりそうな気分に浸されていた。そう、人の死をなんとも思わず、戦争を無意味に拡大する両国の軍部首脳たちのような人間に堕ちることだけはご免だった。