砂漠の矢


攻略メモ
ジラーチ砂漠にて、オーシア地上軍と爆撃機部隊が敵の野戦司令部と滑走路に攻撃をしかける。両部隊の進撃を空からサポートすることが任務。今回のミッションは、それぞれ離れたエリアで進撃する友軍に次々と襲い掛かる敵部隊を逐一倒していく必要があるため結構忙しい。レーダー上の光点や友軍の通信を頼りに、敵出現位置を確認しながら進んでいくと良い。意外と今回の友軍は頑丈なので、少しの間放っておいても何とかなる(笑)。
敵戦闘機部隊を排除すると、攻撃目標である野戦司令部・滑走路の攻撃となる。ここではそれほど航空部隊が出現しないので、友軍とともに地上目標を叩いていこう。この際には、極力ミサイルを使用せずバルカン砲での攻撃を行うことをオススメする。両目標の主要施設を壊滅させると今度は敵AWACS・空中給油機攻撃作戦がアップデートされるので、とんぼ返りでこれらに当たる。ちなみにmasamuneはここの時点でミサイルを全弾使い果たしてしまったので、バルカン砲のみで対応することになった。結構戦闘機の数が多いので、極力ミサイルを温存しておくことをオススメする。
AWACS・空中給油機を屠るとミッション終了。ミッション自体は一定度の撃墜スコアを稼げばクリアとなるが、積極的にスコアをねらっていきたいところである。
登場敵機:RAFALE-M、F-16CB60、X-45、TND-F3、AC-130、F-15E、F-16XL、Mig-31M COSM、B-52、VULCAN、E-767、KC-10、地上目標等

雪原から救出されたナガセが無事退院し、俺たちは幾日ぶりかでサンド島へと帰還した。これで休暇の一つでももらえるのならば随分楽なのだが、そうと問屋がおろすはずも無かった。俺たちを待っていたのは休暇ではなく、最前線の地上部隊支援任務だった。リムファクシの支援を失ったユーク軍は各地で敗走を続け、ついにジラーチ砂漠に大戦力を集結させた。この砂漠を越えればユークの首都は目前であり、事実上これが地上戦の分水嶺になる可能性が高かった。これに対しオーシア軍も陸上と空からの爆撃により前線に設けられた敵拠点を強襲するべく、部隊を集結させた。とはいえ、ユーク軍に比べれば火砲も兵員数も劣るオーシア軍を勝利に導くには、航空兵力による効果的な支援が必要だ、そこで君らの出番だ、と司令官殿は作戦の実状まで明かしてしまった。隣でチョッパーが苦笑している。大方司令官殿が俺たちの動員を総司令部に陳情したことはミエミエであった。
「さて、今回の作戦に当たって、一つ問題がある。この作戦図を見れば分かるとおり、作戦範囲が極端に広いのだ。付近には補給可能な航空基地もないため、支援部隊を選ばなければならない。ブレイズ、今回は貴官らに選ばせてやろう。」
そう言って彼が取り出したのは、またしてもコイン。この期に及んで、一体我が軍の高給士官たちは何を考えているのだろう。俺は無表情であることに努めながら、コインを宙に放った。手の甲でそれを受け止め、かぶせた手の平をゆっくりと上げる。……俺たちの出撃コースが決まった。
「敢えて言っておくが、先日の収容所でバートレットが発見されなかったことにより、彼は敵性スパイであったという容疑がかけられている。その教え子たる君らを疑う人間も少なくない。君らがその働きで無実を証明することに期待する」
司令官殿は、言わなくて良いことを言った。

ジラーチ砂漠は広大な砂丘の広がる、ユーク大陸の中でも最も大きな砂漠地帯となっている。眼下では砂煙をあげながら地上部隊が進撃を続けている。冷房も効かない戦車や装甲車の中は、まるでサウナだろう。太陽の熱と、地面からの熱とが容赦なく彼らの体力を奪っているはずだ。
「ちっくしょう、馬鹿にしている馬鹿にしている、馬鹿にしているぞぉぉっ!」
チョッパーは出撃後もまだ怒りが収まらないらしい。
「またしてもオイラの出撃をコイントスなんかで決めやがって!おいブービー、今からちょこっと引き返して司令官殿のねぐらを攻撃してきても良いか?」
「ダヴェンポート大尉、一体何回同じことを言わせるつもりだ。私語を慎みたまえ」
チョッパーとサンダーヘッドのこの会話はすっかり作戦前の社交辞令のようになってしまっている。いい加減、チョッパーの性格も分かっているだろうとは思うのだが、サンダーヘッドのストーンヘッドもなかなか頑丈らしい。
「あいよ、ラーズグリーズ・スリー了解っと!」
「何を言っているんだ、君は。自分のコールサインを忘れないでくれ」
「へいへい、冗談の通じない奴だぜ。なあ、ブービー?」
俺は苦笑しながらもうやめとけ、と手信号でチョッパーに伝えた。狭いコクピットの中でチョッパーは肩をすくめて笑っている。だが、レーダーには早くも敵航空機の機影が迫っていた。敵もなかなか動きが早い。恐らくは野戦飛行場から飛び立った戦闘機だ。占領作戦重視で編成されている地上部隊、陸軍第1大隊は対空装備をそれほど持たない。俺たちが食い止めるしかなかった。

ユーク軍の攻撃は熾烈を極めた。展開している地上部隊は意外に少なく、大半が俺たちが担当していない戦域に回されているようだった。その分、この戦域には航空兵力が集中して集められているというわけだ。俺たちは爆撃部隊と地上部隊の度重なる救援要請に、見事に振り回されていた。
「何だか、人手の足らないレストランのウェイターやっている気分だ!」
「グリム、ついでに足にはローラーはいてスカートにしてくれ」
俺は部隊を2つに分けて、それぞれの部隊に対応していた。ユーク軍は敗走を重ねている割に装備は最新鋭のものを使用しているようで、性能の違いを痛感させられることも少なくなかった。最前線に投入され続ける以上、俺たちもそれ相応の機体を使用したいところではあるのだが……。
「隊長、後方から敵機が接近中。旋回してください」
ナガセの声に反応して後ろを見ると、F-16CB60が2機連携して俺の後背に喰らい付こうとしていた。俺は操縦桿を引き急旋回すると、そのまま180°ロールして敵を正面に捉えた。向かって右翼の機にバルカン砲を叩きつける。吸気口から直撃を受けたのか、エンジンから炎を吐いて1機が地面に突き刺さり、大爆発を起こす。もう1機は後ろを取ったナガセのミサイル攻撃で主翼を失っていた。キャノピーが吹き飛び、脱出したパイロットのパラシュートが空に白い花を咲かせる。数波に渡って敵は航空攻撃を仕掛け、俺たちはその度に彼らを撃退していた。今ので第4波。それにしても、なかなかの数の部隊が展開しているようだ。再び敵の攻撃が止み、俺たちは一時的に合流した。4機とも、今のところ損害なし。
「隊長、俺に兄がいるって話をしたことありましたっけ?」
「ああ、確かユークへの上陸作戦のとき、そんな話をしていた。まさか今日もいるのか?」
「はい、僕らの下を進んでいる部隊にいるはずです。僕がこの道に進んだのも、彼の影響が大きいんです。……兄を僕は死なせたくない。」
俺も同じ気持ちだった。出来る限り、自分たちと共に進む友軍を守りたかった。それは即ち、より多くのユーク軍兵士の命を奪うこととイコールであるのだが。
「隊長、再び機影接近。……これは爆撃機!?」
野戦飛行場にはどうやら航空部隊が数個中隊配備されているようだ。B-52まで動員してくるとは、予想外だった。出てきたのは数機だが、あれに絨毯爆撃をもらったら地上軍はひとたまりもない。地上軍までの距離はわずか。絶対に止めなければならない相手だった。
「おい、何だよ。爆撃機が飛んでくるなんて聞いてないぞ!!うちのヘナチョコ機銃でどうしろっていうんだよ馬鹿野郎!」
「あんたもまんまと騙されたんだね。しかし今日の上は「サンド島の四機」だ。役立たずの空軍連中一個大隊よりも余程話せるぜ。彼らを信じて突貫しな」
「その通りだ。全車、横列陣を組め。斉射で地上の対空陣地を攻撃するぞ!ファイア!!」
地上軍が対空火器を攻撃してくれたおかげで、俺たちは地上からの攻撃を気にせず支援に回ることが出来た。上空をフライパスすると、戦車の上で機銃を構えている兵士が腕を振った。
「おいブービー、何だか今の声、聞き覚えないか?」
「ああ、俺の勘違いでなければユーク上陸作戦のときに上官を怒鳴り散らしていた曹長殿と、その叱られた隊長殿だ」
「どうやらあのとき生き残った部隊が今日も動員されているみたいなんだ。ほっといても死ぬような連中じゃなさそうだけど、守ってやらなくてはな!」
同感だった。俺たちは孤独に戦っているんじゃなかった。地上にも俺たちを助けてくれる連中がいる。彼らのためにも、目前の敵を野放しには出来なかった。
「チョッパー、グリム、爆撃機は任せる。俺とエッジは護衛機を叩く!」
「あいよ、ブービー。でもよぅ、ナガセ、たまにはポジション変えないか?」
「ネガティブ。2番機は誰にも渡さない。」
「だとさ、ブービー、仲良くやってくれ。おらグリム、デカブツ退治に行くぞ!」
俺とエッジは一気に急上昇し、爆撃隊の上を取った。一方のグリムとチョッパーは爆撃機の真正面に突入し、B-52の進路を強制的に変えさせることに成功していた。小回りの利く戦闘機とは異なり、B-52では時間がかかる。これだけでも時間稼ぎが出来たというものだった。グリムは巧みにB-52の後ろを取り、主翼にぶら下がったエンジンを吹き飛ばした。推力を失い、翼をもがれたB-52はダッチロールを起こし急降下していき、大地に盛大な花火を炸裂させた。俺は護衛に付いていた戦闘機を獲物に定めると、真上から攻撃をお見舞いした。第一弾は外れ。右へ旋回を始めた獲物のすぐ後ろにつけ追いまわす。動きが一瞬止まった隙を突いてAAM発射。爆破から逃れる為急旋回し、次の獲物を探す。後方で、AAMの直撃を被った敵機が爆発四散する。砂の大地にオイルと煙と炎が降り注いでいく。B-52は鈍重な動きながらも攻撃コースを取ろうとしていたが、一機、また一機とチョッパーたちの牙にかかり墜落していった。
「畜生っ!こっちの航空支援はどうなっているんだ!何であれだけの敵に翻弄されているんだ!?」
「悪い知らせだ。敵はどうやら「ラーズグリーズ」らしい。今のうちに遺書を書いておく必要がありそうだ」
「悪魔が相手なんて聞いてないぞ!オーシアの連中は悪魔に魂でも売ったのか!?」
爆撃機を失ったユーク軍は極度の混乱に陥りつつあった。ならば「ラーズグリーズ」の呼び名を最大限活用したほうが良いだろう。俺は敢えて高度を下げ、低空を高速で飛行した。敵の地上部隊が友軍に向かって行っている砲撃の炎が時々見え隠れする。チョッパーたちも加わり、俺たちは編隊を組み直した。そのまま敵部隊の真上をフライパス。呆気に取られていた兵士達が、それが「ラーズグリーズ」と呼ばれる部隊のものであることに気が付き、慌てふためいて逃走を始める。
「馬鹿者、逃げるな!相手は戦闘機なんだぞ!」
指揮官の怒声が聞こえてくるが、それに耳を貸そうとする兵士は少なかった。砲撃が止まった隙をついて、地上軍が施設への突撃を開始。隊長車を先頭に怒涛の勢いで突入してくる地上部隊の前に、戦意を失ったユーク軍はみるみる間に撃ち減らされていった。サンダーヘッドからでの通信では、もう一方の目標に対しても総攻撃が始まったようで、オーシア軍は全戦線に渡って兵力差をものともせず攻勢に出ていた。
「本当に1機で戦況を変えかねない奴だな、ブービー。恐ろしい奴だよ。敵にだけはまわしたくねぇな」
「俺一人じゃ何も出来なかったさ。さあ、いくぞ!」
俺たちは散開して残存の地上部隊に襲い掛かった。生き残りの兵士たちは戦おうとするものは少なく、白旗を挙げて地上部隊に投降する者が続出していた。そして、基地が陥落するまでにそれほどの時間はかからなかったのである。

俺たちが支援した部隊は共に攻撃目標の占拠に成功し、集結を果たした。通信からは友軍の挙げる歓声が大音響で聞こえてくる。一進一退の戦いを続けてきた友軍にとっては久々の大勝利だ。無理も無い。
「サンダーヘッドよりウォー・ドッグ。敵の増援を発見した。もう一仕事頼む」
方位090から、E-767を含む攻撃機部隊が接近していた。装備の残弾数は少なくなっていたが、まだいける。俺たちは基地上空から反転し、高度を上げた。レーダー上の光点がぐんぐんと迫り、やがて攻撃射程内に入る。俺はレーダーロックをかけ、長距離AAMを発射した。数秒後、俺たちは敵部隊と高速ですれ違った。ミサイルの直撃を受けた空中給油機のタンクに引火し、給油機は大爆発を起こした。側にいた戦闘機もその巻き添えを食ってダメージを受け、1機は程なく爆発。もう1機もパイロットが脱出した直後火の玉と化した。
「何だこいつら、こんな連中がオーシアにはいたのか!?」
「違う、こいつらラーズグリーズだ!!くそっ、司令部め、俺たちを見殺しにするつもりか!?」
俺たちは残弾を全て敵に叩きつけた。爆炎と黒煙が視界を遮り、その中を脱出したパイロットのパラシュートが降下していく。戦意を失ったのか、戦闘機が離脱を開始した。追撃するかどうかグリムが聞いてきたが、俺は首を振った。死にたくないのは、敵も同じなのだ。戦わずに済むのなら、それに越したことは無かった。半数以上を叩き落された増援部隊は踵を返し、戦闘区域から離脱していった。完全なる、オーシア軍の勝利だった。地上部隊がユーク軍完全撤退の報を受けて、さらに盛り上がる。兵士たちのあげる歓声は砂の大地に響き渡り、風に乗って広がっていた。

ジラーチ砂漠での戦闘に勝利したオーシア軍は、ユーク首都侵攻に備え拠点を構築しつつある。敗走したユーク軍も、首都攻略の最大の要害クルイーク要塞に立て篭もり、進撃を迎える準備を整えている。この戦争の決着は近いのだろうか?それとも、泥沼化への一歩を進むのだろうか?俺たちの前途は、まだ決して明るいものではなかった。

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