クルイーク要塞攻防戦
攻略メモ
先のジラーチ砂漠での戦闘で勝利した友軍地上部隊は、ユークトバニア首都シーニグラードを目指し進軍を続けている。そして、首都へ至る最大の障害であるクルイーク要塞において、その強固な守りに進撃を阻まれている。地上部隊の突撃を支援し、要塞を抜くことが任務となる。
ミッションのコツは、地上部隊の位置を確認しながらその進路上にある敵脅威を破壊していくということになる。他のミッションなどと同様に、友軍の進撃にあわせて出現する敵兵力があるので、それを優先的に攻撃していく必要がある。さもないと友軍が壊滅してしまう。友軍支援のコツは、通信で進路の案内を求められたり、支援を要請されたタイミングなので、そうでない間は付近の無数にある砲台や次々と出現する戦車部隊などを排除しておくと良い。
友軍が要塞を突破し、その先に出現する敵戦車部隊を壊滅させればミッションクリア。無理に出現する全ての敵を倒す必要は無く、いかに効率的に友軍の進路を確保するかが鍵となる。なかなか突破できない人は、以下のようにしてみると良いかも。
・ミッション開始後、要塞前面の砲台群を壊滅させる。
・友軍突入直後に出現する戦車6台を速やかに排除。
・要塞外壁付近に配備された固定砲台群を排除。
・要塞北方(?)にあるタワーのようなコントロールルーム群を破壊。
・友軍が要塞突破後出現する戦車部隊を排除。
ミッションの性格上、A-10Aなどが良いのだろうが、この後のミッションで苦しむ。戦闘機での出撃が望ましい。
登場敵機:戦車、SAM、地上砲台等、JAS-39C、Su-27、F-2A CYPHER
時間が経つこと、それに多忙であることというのは、残酷だ。チョッパーを失って落ち込んでいた俺自身も、任務に没頭することで表面上は普段と変わらず日々を送ることが出来るようになってきていた。空を3機で飛ぶことには未だ慣れていなかったが……。
俺たちが前線を離れている間に陸軍はジラーチ砂漠以南の地域の確保を確実なものとし、首都シーニグラードへ向けて侵攻した。そして、つまずいた。シーニグラードに至る要衝に位置するクルイーク要塞で、完全に進軍の足を阻まれたのだ。数回に渡って陸軍と空軍の連携で突破を試みたが、その度に航空部隊は壊滅。陸軍も半端でない損害を出して後退を余儀なくされていた。そこで、俺たちの出番となったわけだ。
俺たちの向かう先には、早くも要塞の防壁が見え始めていた。シーニグラードへ至る峠道に建造された、巨大な防壁。数々のトーチカと砲台。山麓にも砲台が設置されているだけでなく、相当数の戦車部隊が配備されている要塞の火力はかなりのものだろう。陸軍は既に作戦行動を開始し、俺たちの足元を一直線に要塞目指して進んでいる。
「キングコブラよりエーブル。朗報だ。今日はいけるかもしれないぞ」
「こちらエーブル。何馬鹿言っているんですか。目の前の壁、見えていないんですか?それとも長引く戦闘でとうとう頭がやられましたか?」
「ひでぇ言われようだ。いいか、今日の上はサンド島の4機だ!」
「本当ですか!?了解、皆に伝えます!!」
俺たちは高度を下げ、進撃する陸軍部隊の上をフライパスした。兵士たちが腕を突き上げ、何事かを叫んでいる。陸上部隊に先行した俺たちは、友軍に向けて砲塔を突き出しているトーチカに機銃掃射を浴びせた。最前方に配置されたトーチカ群で小爆発が起き、沈黙する。友軍の歓声が無線に響き、そして怒号に変わった。陸上部隊の射程範囲に敵施設が入ったのだ。進撃する車輌から相次いで砲撃の炎が伸び、敵もそれに応射して地上は炎と土煙で飽和状態となる。
「敵軍より通信文が送られてきました。読み上げます。当要塞の攻略は不可能。直ちに母国へ退却せよ。……以上です」
「母国か……。こちら、司令部のネルソンだ。みんな、早く戦いを終わらせて国に帰ろうじゃないか。行くぞ、突撃開始!!上空の支援機、よろしく頼むぞ!」
激しい砲火の中、友軍は陣形を組み直して突撃を開始した。ある程度の損害は覚悟の上で、一気に要塞へなだれ込むつもりだ。
「アーチャー、エッジ、済まないが上空のハエの処理を頼む。俺は敵砲台群を攻撃する。行くぞ!」
「エッジ了解、それでは上空の敵機を叩きます。ブレイズ、無理はしないでね」
「ああ、上は任せる」
俺は低空を失速ぎりぎりの速度で飛行し、敵砲台に狙いを定めた。照準レティクルの中にトーチカを捉え、トリガーを引く。曳光弾の筋がまっすぐトーチカに伸び、火花が激しくちったかと思うとコンクリートの壁が吹き飛んだ。爆発がトーチカを内側から吹き飛ばし、あっという間に残骸へと姿を変える。旋回した俺の正面には、要塞の防壁から伸びる砲身があった。レーダーロックをかけミサイルを撃ち込んだが、さすがに頑丈で壊れない。俺はトリガーを引きバルカン砲の雨を浴びせた。轟音と共に砲台が吹き飛び、要塞の壁から黒煙がもうもうとあがる。俺は防壁スレスレの高度で要塞内に侵入した。内部では戦車部隊が展開を始め、オーシア軍の侵入を待ち受けていた。入口までの敵の火力は大幅に減退しているはずなので、そろそろ友軍は到達する。俺は要塞中央を結ぶ滑走路の下を潜り抜け旋回した。そして南門に展開している戦車部隊めがけて機銃掃射を浴びせた。さらに対地ミサイルを浴びせる。密集陣形を取っていた敵は回避することも出来ず直撃を受け爆発した。そこへさらに友軍からの集中攻撃が殺到し、あっという間に戦車を鉄の残骸へと変えてしまう。やがて、門から友軍の戦車隊が姿を表した。
「ひゅう、スタジアムは今日も平常通り営業中ってとこか」
「新記録だ!とうとう壁の中に入り込んだぞ。このまま北門へ突貫する。続け!!」
「おい、なんてこった、敵が入ってきたぞ。うちの空軍支援はどうした!?」
「至急至急、待機中の戦車隊を南門へ回してくれ!」
両軍の通信が入り乱れる。俺は手近の敵車輌を集中的に狙い、友軍の活路を切り開いていった。ギアダウンすればそのまま着陸できそうな高度を保ちながら、機銃掃射を、ミサイルを浴びせていく。上空では、友軍を叩こうとする戦闘機部隊をナガセたちが翻弄していた。
「隊長、1機後方に張り付きました。回避を!」
要塞の滑走路から離陸した敵機が、綺麗にロールを決めて俺の後方に張り付く。俺は少し高度を上げ旋回した。相手もそれに合わせて後ろに付いてくる。俺はタイミングを計って機体をロールさせ、そして操縦桿を引き機体ピッチをいきなり跳ね上げた。機体には急制動がかかり、敵機がそのまま前へと姿を表す。これで形勢逆転だ。俺はその後尾にAAMを叩き込んだ。命中寸前キャノピーが跳ね、パイロットは脱出した。AAMが直撃した機体はすぐにコントロールを失い、地表に激突した。
「ナイスキル、ブレイズ!」
「でもナガセ大尉、こいつら素早くって……ああ、また外れた!」
「落ち着いてグリム、相手の動きを先読みするのよ」
完全に要塞内に侵入した友軍部隊は戦力を敢えて集中し、敵部隊をかき回している。部隊を率いるネルソン将軍の指揮はなかなか見事なものだった。装甲の薄い車輌を戦車群でカバーしながら、火力を一点に集中させる戦法に敵部隊はまだ対応しきれていない。俺はアーチャーとエッジに合流を命じた。彼らを突破させるためにも、要塞自体の火力を削らなければならない。
ユークトバニア戦車部隊の手荒い歓迎をついには押し倒し、友軍部隊は北門に到達しようとしていた。ここさえ突破すればシーニグラードは目前。だが北門外側にも、北門の前にも戦車隊が集中して激しい砲撃を友軍に浴びせていた。
「中隊長車に直撃!返答なし!!」
「ティーゲル4、キャタピラに食った!構わん、後ろから援護してやるから突貫しろ!」
「おい、誰かラーズグリーズを早く口説き落として来い!俺たちの生死に関わる。」
「どうでもいいが、さっきから3機しか見えないぞ。4機じゃなかったのか?」
「何だおまえ知らないのか。正直者にしか4機目は見えないんだよ。自分の胸に手を当てて、見えるかどうか考えてみな。見えなくてもいいから、突っ込め!!」
ここが正念場。敵部隊も必死の防戦に出ている。だが、その戦力集中が運の尽きだ。要塞の入り口の高さはかなりある。つまり、戦闘機が1機通り抜けるくらいはわけがないはずだ。俺は地表スレスレまで降下し、そして前方に展開する戦車隊にバルカン砲の連打を浴びせた。回避することも出来ない戦車が爆発を起こし、隣接する車輌までを巻き込む。俺はその上をすり抜け、門を潜った。その先で上昇し、今度は上空から対地ミサイルの雨を降らす。
「くそ、なんて奴らだ。まさかこいつら、ラーズグリーズの悪魔か!?」
敵部隊に動揺が走る。一時的に弾幕が薄くなった隙を突いて、友軍部隊が捨て身の突撃に出た。先頭の車輌が数台走行不能になりながら、それでも砲撃を続け敵戦車を破壊する。爆発して沈黙した車輌の残骸を後続の車両が弾き飛ばし、出口へと殺到する。
「まだこれだけの抵抗戦力を残しているなんて!」
「もう少しだ、エッジ。北門外の部隊に攻撃を集中させるぞ!」
「エッジ了解!」
俺たちは北門外に展開した残存部隊に集中攻撃を浴びせる。対空兵装を持たない敵地上部隊は、次々と俺たちの手で破壊されていく。ついに友軍部隊の先頭が北門を突破し、外に展開する敵部隊への攻撃を開始する。
「馬鹿な、要塞が抜かれるなんてことがあってたまるか!この要塞は難攻不落ではなかったのか!?」
「やったぞ、要塞を串刺しにしてやった!俺たちの勝ちだ!!見たか、ユークの野郎ども!!」
北門からの脱出に成功した友軍は山麓地帯に展開すると反転し、後を追いかけてきた敵部隊に集中砲火を浴びせた。門から出ることもかなわず、敵戦車が次々と火の玉と化していく。勝敗はついに決した。
「こちらオーシア軍、ネルソンだ。ユークトバニア軍に告ぐ。我々は要塞の突破に成功、近日中に母国へ帰還する。以上だ!」
難攻不落と謳われたクルイーク要塞は、その後到着した陸軍本隊の攻撃により陥落した。先の戦闘でかなりの戦力を失っていた要塞が陥落するまでにさほど時間はかからなかったのだ。要塞のコントロールセンターに掲げられていたユークトバニアの国旗は下ろされ、オーシアの国旗が取って代わった。ここからシーニグラードまで、もはや軍事拠点は存在しない。撤退したユーク軍はついに市街地に展開を始めた。次の戦いは、ひょっとしたら市民を巻き込んだ血みどろの戦いになってしまうのかもしれない。俺たちは、その尖兵になるのだろうか?
友軍の大歓声の中、俺たちは要塞空域を後にした。そしてそれが、オーシア軍将兵の多くが最後に見た「サンド島の4機」の姿となった。