ACES・前編


攻略メモ
「少佐」の持っていたディスクに隠されていた情報は、ベルカ軍の最終報復兵器V2に関する情報であった。V2は大型の多弾頭拡散型弾道ミサイルであり、大戦後密かに開発され、今や遥か宇宙空間にある軌道上プラットフォームである「SOLG」に搭載された可能性がある。SOLG自体は無人であるため、旧ベルカ領内にあるグランダーインダストリーの施設内に隠された司令中枢を攻撃する。
被弾し、傾いたケストレルからの発進。これまでの艦載機専用ミッションとは異なり、どんな機体でも出撃できる。この先は激戦が待っているので、最終決戦まで戦い抜ける機体を選択しよう。
ミッションは大きく分けて2つに分けられる。友軍支援のため地上施設を壊滅させる前半戦と、SOLG中枢を叩く後半戦とである。
前半戦 グランダーインダストリー強襲
ミッションが始まると、平和を求める両国首脳の演説を聞いてラーズグリーズ隊と共に戦うことを決意したユーク・オーシア両軍の部隊が続々と終結する。彼らとともに、突入を阻む敵地上施設と敵機甲部隊を壊滅させる。ミッション自体はそれほどハードではないが、何本か立っている砲塔群が曲者。対空砲火だけでなくSAMも撃ってくるので、なるべく早めに片付けておきたいところ。途中からハミルトンの機体が出現するが、撃墜は出来ないので放っておいて良い。地上兵力を壊滅させれば目的達成。後半戦へと移行する。

後半戦 SOLG中枢攻撃作戦
地上兵力を壊滅させると、いよいよSOLG中枢攻撃。ベルカの山を貫くように作られたトンネルに突入する。AC03後半のミッションを思い出すような気分になる。途中からハミルトンの機体が後背から攻撃を開始するので、多少の危険は覚悟の上で速度を上げられるところでは加速しておくのも良い。中枢を破壊すると脱出となるが、今度はシャッターが次々と閉まっていくだけでなく、正面から敵戦闘機も突っ込んでくる。はっきりいって、ここまで来たらもう自分の操縦技術を信じるしかない。ここまでで培ってきた腕の見せ所となる。とはいえ、注意するポイントはいくつかあるので下記を参考のこと。
・突入後3回目のトンネル移動時の天井にある作業用クレーン
・中枢寸前にあるクレーンのアーム
・中枢破壊後に次々と閉まるシャッター(加速してすりぬける以外に術はなし)
・中枢破壊後のコース変更時に出現する、下から伸びたクレーン
繰り返しになるが、気をつけていれば何とかなるというものでもないので、最後は絶叫しながら突貫したほうが却って良いかも(笑)。トンネルから脱出するとミッションクリア。いよいよ、最終決戦。
登場敵機:Su-27、F/A-22A、TYPHOON、Su-37 YELLOW、Su-47、F-2A、地上施設、戦車、SOLG中枢、ベルガ残党軍ハミルトン搭乗Mig-1.44(墜落)

歌に導かれた味方を得て、俺たちはノース・オーシア・グランダー・インダストリーの兵器生産プラント群に到達した。大都市に匹敵するほどの面積を持つこの大工業都市群の最深部、北ベルカと南ベルカをへだてる山脈から広がる工場群。なるほど、彼らはここで生産したベルカのための武器を山を越えるのではなく、山に穿ったトンネルを使って運んでいたのだ。
「オーカ・ニェーバより、ラーズグリーズ。君たちのボスからの通信が入っているよ。今中継する。……アンドロメダ、いつでもどうぞ」
「ブレイズ、聞こえるかね?到着したみたいだね。随分とにぎやかになっているじゃないか」
「おやじさん!無事だったんですか!?」
「ああ、残念ながら死傷者が出てしまったが、アンダーセン艦長もジュネット君も無事だ。今、アンドロメダを旗艦にして北へと向かっている最中だ。信じられるかい?今、君たちを援護しようと、オーシア、ユークトバニアから様々な人たちがベルカを目指しているんだ。それだけじゃない。なおも戦争を続けようとする司令官たちに叛旗を翻す部隊も出ているし、ユークトバニアの首都シーニグラードでは50万人を越す市民が大規模なデモを起こし、ニカノール首相の名を騙り戦争を続けていた政府の退陣を求めている。皆、気が付いたんだよ、ブレイズ。自分たちが戦わなければならない理由なんて、どこにもなかったんだ、とね。おっと、長話をしている時間はなかったな。モニターを見てくれ」
コクピット内のモニターの一角に、おやじさんからのデータリンクが送られてくる。同じものがオーカ・ニェーバにも届いているはずだ。
「我々の目標となるコントロール施設「シャンツェ」は、君たちの前方に位置する工場群から北ベルカへと続く巨大トンネルの中にある。よって、トンネルの扉を開かない限り、私たちには手の出しようが無い。そこで、今君たちに同行しているヘリボーンと、急行しているオーシアの機甲師団が突撃を試みる。君たちは、彼らを阻む防御陣地と攻撃部隊を殲滅し、そしてトンネル開放後「シャンツェ」を破壊することが任務となる。ラーズグリーズと共に進む諸君、頼んだよ。どうか、彼らを無事に送り届けてくれ」
「こちらグライフ1、任された。必ず彼らを突入させる」
「第一大隊、了解した。トンネルの確保は我々が必ず果たす」
「こちら第172爆撃中隊、敵地上部隊捕捉。攻撃命令いつでもどうぞ!」
「ブレイズ、今日この日の戦いの現地指揮官は君だ。頼んだよ」 編隊飛行を続けてきた俺たちは、戦闘態勢を取った。それぞれの目標に狙いを定め、20機以上の戦闘機たちが展開する。俺は軽く息を吸い込んだ。
「全兵装使用許可。全ての元凶をここで断つ。全機、攻撃開始!!」

最前方に展開した第172中隊と第13中隊が上方と低空に分かれて降下する。突然目の前で分かれた目標に地上部隊が翻弄されている間に、8機の戦闘機は同時に攻撃を開始した。対地ミサイルと機関砲弾の雨が容赦なく敵に降り注ぐ。グライフ1の機体は対空砲の真正面を綺麗にロールしながら攻撃を回避し、鉄の雨を降らせた。ミサイルが炸裂し、直撃を受けた車輌が木っ端微塵に弾ける。橋が崩れ、その上に展開していたSAM群もろとも落下する。爆発の炎が辺りを明るく照らし出す。
「話が違うぞ!4機どころか、大群じゃないか!!」
「慌てるな!今ユークとオーシアから援軍が向かっている。奴らなど取るに足らん!!」
対空陣地から対空砲火のあげる花火が炸裂し、SAM砲台からはレーダー照射。俺たちのコクピットは鳴り響くアラートで満たされていく。俺たちはその迎撃を潜り抜け、返礼とばかり攻撃を加えていく。
「ブレイズ、ベルカは危機を悟って両国の味方する連中を呼び寄せた。彼らの持つ3発の核弾頭を渡すと言ってね。しかも、より強力な破壊力を持つ「V2」には最後まで触れずにな。その「V2」だが、先ほど最後のシャトルがマスドライバーから射出された。基地を急襲した友軍から連絡があった。どうやら、SOLGは最終攻撃体制を整えたようだ」
「ならば、尚更「シャンツェ」を破壊しなければなりませんね?」
「……そういうことになるな。済まない、頼むよ」
おやじさんからの通信が途切れ、そして俺は再び激しさを増す戦場に意識を戻した。ベルカ軍はこの日の来ることを想定していたのか、予想を上回る対空火器群だけでなく、地上兵力を動員していた。仲間たちの戦闘機がその攻撃をかわしながら攻撃を加えていくが、敵の攻撃も半端ではない。俺はコンソールを操作し、久しぶりにTLS――戦術レーザーの充填を開始した。コクピットがガクンと上に上がり、そしてジェネレーターが作動する駆動音が低く響き渡る。ディスプレイの充填率が次第に上昇し、そして100%に到達した。俺は照準レティクルに、仲間たちに激しい攻撃を加えている砲塔群を捉えた。発射トリガーを引くと、赤い光条が大気を切り裂き、そして突き刺さった。地表を抉るようにレーザーの光が走り、その高エネルギーの直撃を受けた砲塔が、戦車が、次々と爆発を起こす。砕け散る破片が辺りの施設をも破壊し、炎と黒煙が吹き上がっていく。弾幕の一角が減殺され、その隙をついて次々と戦闘機たちが突入していく。ミサイルアラート!機体を旋回させながら後方を振り返ると、オーシア軍のタイフーンが俺を捉えていた。仲間たちの機じゃない。おやじさんの言っていた、ベルカに味方するものたちか!
「あれだ!あの黒い先頭の奴を狙え!!」
ベルカだけではなく、彼らの核兵器を欲する者たちの攻撃が俺に集中していく。だがそれは同時に、仲間たちに対する攻撃は減少するということだ!俺は低空を高速で駆け抜けた。プラントとプラントの間をすり抜け、急反転で後ろから追いすがる敵機を翻弄し、反撃の攻撃をぶつけていく。俺の攻撃で翼を失ったF-22が、バランスを失ってぐるぐると回りながら大地に叩き付けられる。
「ラーズグリーズ、こちらユーク陸軍第112中隊!大統領たちの演説を聞いて、戦いの目的が変わったことに気が付いた。今君たちの友軍の部隊が突入を開始した。我々も加勢するぞ!陸上戦闘は任せておけ!」
「こちらオーシア陸軍第33機甲大隊、第112中隊、支援に感謝する!後背から砲台群を狙い撃ちにしてくれ!」
工業地帯南方から突入を開始した機甲部隊からの砲撃が始まる。大口径の大砲から打ち出された砲弾が着弾し、工場の建物が木っ端微塵に弾ける。吹き飛んだ瓦礫に埋められて、何台かの車輌が身動きが取れなくなったところを友軍機の爆弾が直撃する。
「ブレイズ、方位070から航空機とこれは輸送機……?ユーク軍の認識コード!」
ナガセの声にレーダーを見ると、新手の敵が接近していた。戦闘機部隊だけでなく、空挺部隊まで持ち出してきやがったか。
「核兵器は我々ユークトバニアのものだ。ここから去れ、オーシアのカラスどもが!」
「ここはオーシアの領内だ。ユークごときの勝手にさせるか!」
俺たちを追撃していたはずの連中が、矛先をユーク軍に向けた。砲火こそ交えないが、その進路を妨害して接近を阻む。俺たちを敵とする者たち同士の無様な小競り合い。この期に及んで、核兵器を望むような連中だから、ベルカの口車に乗せられたと言うのに!
「味方同士で噛み合って、まるで地獄の犬だよ。なんて奴等だ」
「同感だアーチャー、この隙にまとめて始末しておくか」
俺は友軍機たちを支援しながら、砲台や対空砲を片っ端から叩き潰していた。ミサイルを、機関砲を、そしてレーザーを浴びせ、灰燼の山を築いていく。山脈を正面に捉えると、その山腹に直径数十メートルはあろうかというトンネルが2本、今は蓋を閉ざして佇んでいた。その手前の地面がゆっくりと開かれた。突然ミサイルアラートが鳴り響いた。SAMポケットか!!迫り来る何本ものSAMを急旋回で交わしながら攻撃ポジションを取ろうとするが、如何せん手が足りない。しかしこのままこれを放っておいては、いつまで経ってもヘリボーンが到着出来ない!
「ようやく着いたぞ!ラーズグリーズ、遅れてすまん!こちらユークトバニア空軍第202戦術航空団、持てる限りの得物を持って馳せ参じたぞ。今援護する!!」
上空から赤いカラーリングのJAS-39が突っ込んできた。SAMの攻撃を鮮やかに回避しながら、攻撃ラインに機体を乗せていく。
「レイ01よりラーズグリーズ、地上の獲物は我々に任せろ!」
4機のJAS-39は編隊を崩すことなく攻撃ポイントに付いた。機体にぶら下げられたロケットランチャーから炎の雨が降り注ぐ。地面に口を開けたSAMポケットにロケット弾が次々と打ち込まれ、炸裂する。炎と爆炎と黒煙が吹き上がり、吹き飛んだSAM発射台が地面をめくりあげ、さらに炎を吹き上げる。レイ01たちが切り開いてくれた血路に、俺はさらにレーザーをお見舞いした。高エネルギーの光が容赦なく敵を焼き撃ち貫く。地下の弾薬庫に火が回ったのか、トンネルの前で大爆発が起き、SAMポケットは完全に機能を停止した。
「ブレイズより、レイ01。支援に感謝する!これでヘリボーンの連中が降下できる!」
「何の、俺たちも加勢するぞ。うちの国の恥知らずたちがまだまだここ目掛けて殺到しているみたいだからな!そうそう、そっちの人数だけじゃ足らないと思って、こっちのヘリボーンも連れて来た。もうすぐ到着するぞ」
レイ01率いる赤いグリペンは機体をバンクさせると、まだ空に向かって砲火をあげ続ける陣地へと針路を取った。俺もまた機体を反転させ、上空から攻撃を続ける敵航空機を狙う。その横を、対空陣地の沈黙を確認したヘリボーンが一気に突入した。
「ラーズグリーズたちが対空陣地を壊滅させた。野郎ども、これまでの訓練の成果を見せろ!行くぞ!!」
戦闘ヘリを先頭に、トンネル近くのコントロール施設めがけてヘリが降下していく。俺は彼らを狙う戦闘機を照準レティクルに捉え、その機体を撃ち抜いた。木っ端微塵になった味方を避けようとライトターンした敵機の後背にへばりつき、そのエンジンを吹き飛ばす。パイロットの断末魔が途中で途絶え、敵機は炎をあげながら墜落していく。
「くそっ、本当に地獄の蓋が開いたみたいだ。友軍同士で殺しあうなど醜い!崇高な目的を掲げる我々をこんなところに追い詰めたのは彼らだ。ラーズグリーズ、ウォー・ドッグの亡霊どもなのだ!何をしている!!貴様たちの敵はあの黒い翼を持つ悪魔と、それに与する者どもだ。目を覚ませ!!」
それは、俺自身も聞き慣れた男の声。だが、これほど悪意に満ちた声を聞くのは初めてだ。
「何だ、誰かと思ったらハミルトンまでいるぞ」
「貴様グリムか。貴様ごときが俺の名を呼び捨てにするなど、100年早い。待っていろ、今地獄へ送ってやる」
「やれるものならやってみろ!」
グリムがハミルトンと対峙する。俺はまとわりつくベルカの戦闘機を叩き落し、その支援に回った。ハミルトンの後方からは、さらに多数のベルカ航空隊機が接近する。一体ベルカはどれだけの数の航空機を出したというのだろう?
「ブレイズ!やはり貴様はあのとき真っ先に殺しておくべきだった!!」
グリムの追撃を難なくかわし、ハミルトンは俺の正面に回った。互いの姿を捉えたまま、俺たちはすれ違った。ほとんど同時に操縦桿を引き、俺たちはループを描いていく。
「ハミルトン!それはこっちの台詞だ。この期に及んでまだ分からないのか!おまえの存在が、さらに数多くの命を無駄に捨てていると!!」
「おまえが言うか!ベルカの掲げる理想に賛同した同朋たちを次々と撃ち砕いてきたおまえが!!」
ループの頂点で、俺は奴の機体を正面に捉えトリガーを引いた。機関砲弾が奴の機体に飛び込んでいくが、奴はぎりぎりのタイミングでそれをかわした。何発かは命中したようだが、大したダメージにはなっていない!
「忌々しい悪魔どもめ。何をしている!轡を並べろ!我々の敵はラーズグリーズどもだ!!」
「ラーズグリーズ……」
「そうだ、ラーズグリーズ、奴らが我々の全てを奪ったのだ!!」
味方同士で噛み合っていたオーシア・ユークトバニアの「主戦派」部隊の矛先が変わる。輸送機から降下した戦車部隊はトンネル前に展開し、砲撃を開始する。もともとのベルカたちの砲台はほとんどが沈黙しつつあったが、新たな敵が俺たちの道をふさいでいく。

血路は、まだ開かれない。

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