The Unsung War・後編


空と海の境目から、徐々に朝日が姿を現し始めた。淡い光は空を照らし、そして俺たちの機体にも朝日がそそぎ、黒い翼を煌かせている。眼下に広がる海面にも太陽の光が反射し、まばゆい光を反射している。SOLGへの攻撃が可能になるまでまだ時間があった。既にグラーバク・オブニルも無く、俺たちは朝焼けの空を漂っている。
「そうか……僕、来週誕生日だったんだ。とうとう二十歳になるんですね」
「ほら見ろ、生きていればいいことがある。おめでとう、グリム」
「ありがとうございます、スノー大尉。これで戦争が終わって、兄が家に戻ったら、母はきっと大喜びでしょうね。……僕はもう戻ることができないのかもしれませんけれど」
そうか、俺たちは既に死んだことになっている。当然、家族の元には死亡通知が届いているはずだった。まさか、俺たちがこうして生き続け、そして今なお戦い続けているなどとは思いもしないだろう。
「グリム、おまえさんがお袋さんを喜ばせるんだよ。この戦いが終われば、いずれにしても長い休暇だ。旧体制の作り上げた死亡通知などクソ食らえだ。行ってこいよ、故郷に」
「そう、か。僕は会いに行ってもいいんですよね。僕は今こうして生きているんだから。」
「ああ、戦争終結の最高のプレゼントになるぞ。もっとも、葬式費用と必要無くなった墓石代くらいは請求されるつもりで行った方がいいだろうがな」
朝日は徐々に高度を上げていく。薄暗かった空は空色の光を取り戻し、光が大地を、海面を覆っていく。いつもと変わらない朝が、今日もやってきていた。
「隊長、俺はあんたに礼を言わなければならない。……ありがとう!」
「スノー大尉?」
「あんたの列機として飛んでみて、俺は初めて死んでいった部下どもの気持ちが分かったんだ。あいつらが何を考えて戦い、そして何を考えて死んでいったのか……俺が隊長を信じて戦い続けてきたように、あいつらも俺を信じて戦ってきてくれたんだな、と。部隊が壊滅して、俺は孤独で戦わなければならなかった。だがブレイズと共に飛んで、俺は戦い続ける理由、空を飛び続ける理由、そして何を俺は守りたかったのか、ようやくそれを思い出すことが出来たんだ。あと少し。ここまで飛んできたんだ。最後の最後まで、俺は飛び続けたい」
「俺のほうこそ、スノー大尉には開戦からお世話になりっ放しでした。まだまだ、教えてもらわなければならないことがいっぱいあります」
「何を言っているんだブレイズ。俺がお前さんに教えることなんて大して残っていないぞ。そうだな、敢えてアドバイスするなら、たまには自分に素直になってみろ、ってとこだろうか?」
痛いところを突かれた。俺は、俺の左翼を飛ぶナガセ機に視線を移した。朝日を浴びた彼女の機体には、光がまばゆく煌いていた。そして、彼女もまた俺を見ていた。二人の視線が、ヘルメットのバイザーとキャノピーごしに交錯する。
「……2番機として、二度と1番機を落とされまい、と私は飛び続けて来ました。でも、実際に守られていたのは私だったかもしれない。機体を撃墜され、雪原をさまよっていたときも、そしてこれまでの戦いの中でも、ブレイズは私たちを守るために戦い続けてきてくれていた」
「ナガセ……」
「あと少しで、苦しかった戦いは本当に終わる。だから……あと少し、あと少しだけ……ブレイズの2番機でいさせて欲しい。お願い……」
守られてきたのは俺の方だ。彼女の冷静で的確な行動は、ともすれば激発寸前だった俺たちを抑え、正しい方向へと導いてくれていた。俺が今日まで生き延びてこられたのも彼女の支えがあってこそだ。戦いは確かに間もなく終わるだろう。だが、それが全ての終わりになるというわけではない。
「ナガセ……俺も、君にお願いがある。戦いは確かにもうすぐ終わる。でも……その……なんだ……いやだから……」
俺の頭はこんなときに真っ白になっていた。伝えたい言葉は分かっているのに、肝心の言葉が声にならない。スノー大尉が笑いをこらえている声が余計に俺を焦らせる。
「だから、ケイ、返事は後でかまわない。これからも、俺の2番機でいてくれないか?」
言い終わってから、俺は大きく息を吐き出した。グラーバクたちとの戦いの後に、こんな戦いが待っているとは思いもよらなかった。だが、俺はようやく、チョッパーが死んだあの日から変わってしまったナガセとの関係を、一歩進めることが出来そうだった。……すまないな、チョッパー。おまえがいたら何て言うだろうな。拳の一つや二つは覚悟しているけど、これで良かったんだよな。
「そう呼んでもらえたのは初めてね、ブレイズ……。でもこんなときに、そんな大事なこと言われても、本当か嘘か分からなくなりそう……」
「済まない。だから、返事は全部終わってから聞かせて欲しい。それでいいか?」
「ええ!……ありがとう、ブレイズ。私は必ず、あなたを守る。最後の最後まで!」
それは俺も同じだった。生き残る理由と、仲間たちを守り抜く理由がもうひとつ増えた。ナガセの答えを聞くためにも、必ず生き残り、必ず彼女たちを守る。この空を越えて、目前にある平和への一歩を手にするために!
「やっぱり、絵になりますね、隊長とナガセ大尉。どうかお幸せに……」
「良かったな、グリム。新しいコールサインが出来たぞ。ハートブレイク・ツーってな」

俺たちの目前に迫るそれは、ますますその大きさを増まだしていきつつある。だが、俺たちの向こうにそれはいた。改めて見てみると、何て大きさだ!こんなものが15年前から俺たちの頭上を漂っていたなんて。しかもその過去の遺物が甦り、今度は自分たちの国の首を締める結果となるとは、当時の政府・軍首脳たちは思いもよらなかっただろう。ましてや、SOLGの存在自体を知らなかった大半の人間にとってみれば、寝耳に水以外の何物でもないのだから。そして、攻撃可能高度までのカウントダウンは、ついにゼロカウントを告げた。
「こちらオーカ・ニェーバ、SOLGが攻撃可能高度まで下がったぞ!おやじさんからデータリンクが来た。そろそろよく見えるはずだ。SOLGを破壊するには、あの衛星を構成している中枢部分を破壊するしかない。だが、中枢部分を攻撃するにはあの加速器の合間から攻撃するしかない。こいつは難しいね……。」
FALKENに送られてきたデータリンク。それによれば、SOLGは大きく分けると三つほどのパーツに分けられるようだ。攻撃兵器を装填するユニット、衛星の姿勢制御・太陽光パネルともつながる中枢部、そして拳銃でいうならバレルにあたる発射ユニット。俺たちはこれをばらばらにしなくてはならないのだ。オーレッドまでの距離は80マイル程度。それほど時間的余裕は残されていない。
「あいつを食い止めるぞ、グリム!!」
「分かっています。ナガセ大尉!」
「ええ、ブレイズ、行きましょう。これが私たちの最後の戦い!!」
SOLGが俺たちの眼下をゆっくりと通り抜けていく。あの中には、まだMIRVであるV2も格納されたままだ。グラーバクやオブニルたちの最後の怨念ともいうべきこいつを、このままの姿で落とすわけにはいかなかった。操縦桿を引いて機体を反転させ、俺はSOLGに速度を同調させた。レーザーの安全装置を外し、エネルギーの充填を開始する。その間にナガセたちは散開し、それぞれの方向から攻撃を開始した。ミサイルが、機関砲弾が炸裂し、SOLGの胴体を爆発の炎が飾っていく。砕け散ったミラーの破片が朝日を反射しながら落ち、粉砕されたパーツが剥がれ落ちていく。真正面に飛んでくるパーツを機体を傾けて交わし、中枢部の一点に狙いを定める。
「闇雲に撃っても当たらない!」
「隊長、ここはあんたでなくては!あのパーツの隙間を狙うなんざ針の穴を通すようなもんだぞ。見通しを良くしないとな!」
ジェネレーター充填率、100%。俺は中枢左上に狙いを定め、レーザーを放った。赤い光が瞬時に伸び、そして進路上にあった太陽光発電ミラーを一気に根元から剥ぎ取る。ひときわ大きな爆発が起き、加速器の一本が高熱で焼き切られて吹き飛んだ。爆発のショックで微妙にSOLGの降下ルートがずれる。だが中枢は健在。そこにナガセたちが総攻撃をかけていく。攻撃しては反転し、再び攻撃ポジションについての攻撃を繰り返す。そのうち、ようやく中枢の一角が爆発を起こし砕け散った。レーザーの発射まではまだ時間がかかる。俺もまた残るミサイルを叩きつけるようにして中枢部を攻撃していく。中枢を覆う装甲板が少しずつひしゃげていき、そして本体が姿を現したところに機関砲を撃ち込んでいく。それでもかなりの時間トリガーを引き続けて、ようやく中枢部が炎をあげた。それにしてもなんて堅牢さだ。
「この程度の攻撃では、SOLGは止められない。でも……」
「僕たちがやるしかないんです!」
ナガセとグリムの攻撃が、回転を続ける加速器の一本を根元からへし折った。本体をバウンドするように跳ねたそれは、ミラーを砕き、発射ユニットを砕いて離れていく。
「絶望的な光景はこの戦争で見慣れたつもりだったが、こいつは強烈だ!確かにこいつは敵の用意したカードの中で最悪と言っていいだろう。だがな!こんなところで終わらせてなるものか!!」
スノー大尉の攻撃は加速器の向こうでゆっくりと回転を続ける装填ユニットに吸い込まれていく。ミサイルと機関砲の集中攻撃はアーム部分に吸い込まれていく。砕け散る破片の雨の中を潜り抜け、ついにスノー大尉はそのユニットを根元から断ち切った。再びレーザーの充填は完了!放たれた光は中枢部の一角をさらに消し炭に変え、加速器の最後の一本を真っ二つにして削ぎとった。再びレーザーの進路に沿って爆発が起き、削り取られたパーツが海へと落ちていく。
「オーレッドまであと60マイル!」
「たいぶ見通しが良くなった。どんどんいくぞ!!」
「思い出せ、あのベルカの孔の開いた大地を!!あの悲劇を繰り返させるな!!」
グリムが一撃離脱で機関砲の攻撃をSOLGに浴びせていく。
「付いていく、僕は隊長に付いていく!隊長と一緒なら、僕らはもっと奇跡を起こせる。これまでもそうだった。僕らの後ろには大勢の心、前にはたくさんの生命!!僕は負けない、信じろ!自分の力を!!」
最後まで残っていたミラーが砕け散り、無数の破片をばらまき、光を乱反射させながら大空を舞っていく。
「これは人の作ったもの。だから必ず何とか出来る。いつだってそうだった!私たちはブレイズと一緒に、どんな困難も乗り越えてきたの。だから!」
ナガセが最後に残っていたミサイルを全弾SOLGに撃ち込んだ。発射ユニットで何発ものミサイルが炸裂し、巨大な円筒状のユニットからパーツが剥がれ落ちていく。
「この空は、私たちの最後の空!!ここを越える!まだ私は動ける、まだ飛べる!!私たちの未来、私たちの希望、私たちの仲間!!大切な、かけがえのないものをここで守り抜くの!!もっと、もっと……もっと!!」
「そうだ、先に逝っちまった部下ども、俺はまだまだやるぞ!!おまえたちが守ろうとした、この国、この国に生きる家族、そしてこの国にいる人々!行けえぇぇぇぇっ!!」
ナガセも、スノー大尉も残された弾丸すべてをSOLGに叩き付けていく。俺はさらにもう一度、レーザーの充填を開始した。連続使用でエネルギーを消費した今、あと一度。あと一度で全てが決まる。SOLGの中央に残された中枢パーツ。あれを砕けば、SOLGは完全にパージされる!俺はSOLGの後ろに回りこんだ。攻撃兵器の発射口の向こうに、不安定に揺れ動く中枢部分が見える。上へ下へ。バランスを崩したSOLGの挙動は不安定なものとなり、照準レティクルに収まらない。くそ、照準を安定させるにはもっと近づくしかない……近づく?そうか、その手があったか!俺は大きく口を開けた発射口に慎重に近付いていった。ここでもしコントロールを間違えば、俺はこのユニットもろともオーレッドに突き刺さることになる。恐怖が俺の心を鷲掴みにする。だが、確実に仕留めるにはこれしかなかった。俺は一度ため息を吐き出し、そしてSOLGの中に潜り込んだ。上下左右、ギリギリの空間を直進する。俺の目前に中枢ユニットがその姿をさらす。
「沈めぇぇぇぇぇっ!!」
FALKENの放った赤い光は、SOLG内部から中枢を突き破った。触れたものを蒸発させ、周りを高熱で焼き尽くす光線が、SOLGにとどめを刺す。強引に脱出口を穿いた俺は、SOLGの中から飛び出した。SOLGの身体が、痙攣するように爆炎に包まれていく。支えを失ったパーツが次々と本体から剥がれ、海面に水柱をあげていく。それはまさに、SOLGの断末魔だった。俺の視界を真っ白に染めるような光が、空を漂白した。
「くそっ、水臭いぞあいつら。俺たちに黙ってあんなデカブツと戦いに行くなんて」
「こちらレイ01、グライフ1、まだ俺たちでも手助けは出来るぞ。あんなものをオーレッドに行かせはしない!」
「15年前の戦いのときと同じように、罪の無い人々を消滅させるような悲劇はごめんだ!こちらアクト1、歌声に集いし皆、彼らを支援するぞ!!」
明け方の空を国籍も民族もバラバラの戦闘機たちが一丸となって駆けていく。彼らを一つにした希望の翼を守るために。その彼らの前方で、光が突然炸裂した。幾筋もの光の筋が、空を切り裂くようにして落ちていく。

ハーリングはブライト・ヒルのベランダから空を見上げていた。朝日の空の向こうから、近づいてくる禍々しいモノが、身をまとうパーツをばら撒きながら近づいてくる。それこそが、ブレイズたちが戦い続けている証だった。
「大統領、我々はとてもいい友人たちを得ることが出来ましたな。これからも彼らとは良き友人でありたいものです」
ニカノールは終戦宣言のときのスーツから、赤いハイネックシャツとコートに着替えていた。
「先ほど、「少佐」から連絡がありました。シーニグラードでレジスタンスたちが一斉に放棄し、政府や軍施設の「主戦派」の追放に成功したそうです。」
「では……」
「ええ、私も己自身の戦いの場に戻ることにします。落ち着いたら、またゆっくりお会いしましょう」
二人は笑いながら握手をかわした。後に互いの国で長期政権を築き、この大陸の平和のために奔走し続けることになる、二人の男たち。窓の先の空で、白い光がはじけた。

アンドロメダの艦橋は、オーカ・ニェーバから送られてくる映像の周りに人だかりが出来ていた。壁面のモニターを男たちが食い入るようにして見つめ、口々に叫んでいる。ブレイズたちの攻撃が炸裂するたびに男たちの歓声があがるのだ。
「いいぞ、ブレイズ!そうだ、その機動だ!」
ビーグルもいつしかモニターを見ながら叫び続けていた。アンダーセン艦長は無言ながら何度も頷き、彼らの戦いぶりを眺めている。ジュネットはそんな男たちの後姿をそっとファインダーに収めた。この戦争の裏で暗躍していた敵の存在をいち早く察知し、味方からも「敵」として追われながら戦い続けた男たちのその姿を。 艦橋の窓から周りをみると、大統領たちの呼びかけに応えた艦艇がアンドロメダを中心に展開していた。オーシア、ユークトバニア双方の艦艇が肩を並べて艦隊に加わっている。この戦いを終わらせ、平和を取り戻すという共通の目的に向かって、両国は歩き始めている。その証拠が、今ここに集った艦艇たちだ。孤独な戦いを続けてきたブレイズたちの想いは、ついに人々の「心」に届いたのだ。私は、改めて艦艇たちの姿をファインダーに収めた。その背後で、ひときわ大きな歓声があがった。

明け方の空を、不気味な黒い円筒状の物体が切り裂くように落ちていく。だが、その周りでは、きらきらと光を瞬かせながら物体の一部が次々と崩落していくのだった。
「大丈夫、彼らなら必ず成し遂げてくれるわ。だって、あなたの一番弟子たちだもの。」
「やっぱり心配になってきた。今からいってもいいか、ナスターシャ?」
「やめておきなさい。ブレイズたちを信じて、あなたはここで彼らの帰還を待つの。年寄りの冷や水もほどほどにしなければね」
バートレットはさらに何かを言い返そうとしたが、結局黙り込んでしまった。そんな彼の様子を見て、ナスターシャは微笑む。15年前と何も変わらない、彼のしぐさに。
「ジャック、大丈夫よ。ブレイズたちは必ず戻ってくるわ。SOLGは確かに恐ろしい兵器かもしれない。でも、本当に強いのは覚悟を持った人間の心よ。怨念だけが導いたあの星なんて、恐れるに足らないわ。」
「そうだな……。もう、あいつらは卒業だ。俺がいちいち教えてやらなくても立派に巣立ってくれたよ。しかも俺の期待以上にな。あいつらは、本当に「ラーズグリーズ」かもしれねぇな」
バートレットはナスターシャの肩を抱き寄せた。寄り添う二人の向こうの空で、白い光が炸裂し、朝焼けの空を漂白していった。
無線から聞こえてくるのは、無数の人々のあげる歓声。中枢を失ったSOLGは爆発を起こし、その巨体は細切れになって海面へと没していく。一部の破片はオーレッドに降り注ぐことになるだろうが、それほど被害は出ないで済むだろう。無数の流れ星のように、空から光が流れ落ちていく。俺はゆっくりと視線を動かしていった。スノー大尉、グリムの機体が、俺の右翼に並んでいる。スノー大尉が右手を突き上げ、ガッツポーズを取っているのが見える。彼も絶叫をあげている張本人の一人だ。左翼にはナガセがいる。そうだ、俺は彼女の返事を聞かなければならないんだった。そして、その向こう、俺の心にはもう一騎の姿が見える。きっと、こんなときなら人一倍勝利の喜びを叫んでいたであろうパイロットの姿が。俺はコクピットに入れてきたMDプレイヤーのスイッチを入れた。今日は、最初からだ。そう、こんなときは……。
「おお、ロックンロールとは景気がいいな!ラーズグリーズ、この歓声が聞こえるか!?聞こえんとは言わせないぞ!!ほら、黙っていないで何か言いやがれ。皆が、おまえたちの帰還を待っている。ほら、早く皆に応えてやってくれよ!!」
いつしか歓声は「ラーズグリーズ」の連呼に変わっていた。
「ブレイズ、帰りましょう、私たちの故郷へ」
「ああ。ラーズグリーズ、任務完了!これより帰投する!!」
戦いの空の向こうに広がっていたのは、どこまでも抜けるように青い、透き通るような空だった。人々のあげる歓声が木霊する。そう、俺たちが求めていたのはこの空だったんだ。誰も争うことも無く、誰も傷つくことの無い、この青い空――俺たちは、ようやく取り戻したんだ。

この日、2010年12月31日。無数の人々が願った「平和」が、世界に戻ってきた。哀しい戦争は、ついに終わりを告げ、新しい1年が新しい一歩として始まろうとしている。

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