THE UNSUNG WARとは?
AC05のサブタイトルともなっている「THE UNSUNG WAR」。直訳すると「称賛されない戦い」とか「尊敬されない戦い」という意味になる。ちなみに「unsung hero」とすると、「縁の下の力持ち」或いは「詩歌にうたわれることのない英雄」という意味になる。
AC05は、オーシア連邦とユークトバニア連邦共和国という二大超大国間が舞台になるわけだが、現実世界のアメリカ合衆国とソビエト連邦がそうであったように、両国の代理戦争は朝鮮半島・インドシナ・ベトナムなどで1970年代の後半まで繰り広げられたものの、全面対決はなかった。何故かといえば、お互いの全面戦争が世界を滅ぼしかねないものになることを、現実世界のアメリカとソ連の指導者がそうであったように、オーシア政府とユークトバニア政府も認識していたからに他ならない。だが軍事大国たる両国であるから、海や空といった領域において表沙汰になっていない小競り合いは恐らく発生していたものと思われる。偶発的な衝突であったり、或いは新兵器のテストであったり……。2010年に発生した第108戦術戦闘航空団の国籍不明機との戦闘についても、両国首脳は闇に葬ろうとしていたはずである。事態が明るみに出てしまえば、激発した軍や国民たちによって両大国は戦争状態に陥ってしまうからだ。
それ故に、NAMCOのページでも公開されているように、今回の遭遇戦には厳しい報道管制が敷かれてしまう。同時に、被害者であるはずの第108戦術戦闘航空団は、犯人探しという重荷を押し付けられるわけだ。敵の正体は物語が進んでいくことで明らかになっていくのだろうが、敵を背後で操っているのは言うまでもなくユークトバニア。一方の第108戦術戦闘航空団もどちらかといえば隠密作戦を強いられるわけだから、表向きデタントを気取った両国の化かし合いに振り回されている点ではあまり相違ない。「THE UNSUNG WAR」とは、そんな彼らに相応しいタイトルだ。プレイヤーが操る「ブレイズ」たちの戦いは、二大超大国の水面下の争いに沈められ、表沙汰になることも正確な情報が伝えられることも無い。だが、生命を賭して空を駆け巡るプレイヤーたちにとっては、間違いなく「戦争」なのだ。「称えられることもない、表沙汰になることも無い、戦いの記録」そんな意味がサブタイトルに込められているように感じる。