ミッション11

ロスカナスを占領した連合軍はこの近郊に突貫工事で滑走路を建設し、俺たちの部隊もそこをメインベースとすることになった。今までのボロっちい宿舎もなかなか良かったが、新しい基地はもう少しマシになるそうだ。補給体制が確実に向上してきているせいか、俺たちの機体の調子もかなりいい。恐らく敵さんは逆の立場だろうが……。まあ、もう一つ良いことがあるとすれば今回の基地には女性兵が多いので、エンゼル01向けの設備が豊富というのも挙げられるか。

その日、俺はまだ十分な体制の整っていないロスカナス基地の近郊の偵察に出ていた。F−15Eは非常に優れた機体で、空戦でも対地攻撃でもありとあらゆる任務をこなすことが出来る。こいつなら、あの黄色の13番とも渡り合えるかもしれないな。そんなことを考えていたら、通信が入った。緊急回線のようだが、一体何だ?俺は回線を開いた。
「ロスカナスベースより、メビウス1。緊急事態です。」
基地の女性オペレーターの声が緊迫している。どうやら、あのストーンヘンジを設計した技術者たちがエルジア軍から離反し、亡命を図ったらしい。だが彼らが搭乗した民間機が割り出されてしまい、エルジア空軍の追撃を受けているのだった。
「メビウス1了解。ちなみに支援機が上がるまでどれくらいの時間がかかる?」
「最短でもそちらに着くまで10分はかかります。」
間に合わない。その間に足の遅い旅客機では攻撃されてしまう。なら俺一人でやるだけのことだ!俺は燃料タンクを切り離し、スロットルを全開に叩きこんだ。

「こちら702便、エルジア軍機の追撃を受けています。700便は与圧装置が故障し、高度が上げられません。至急支援をお願いします。」
「702便、現在支援機がそちらに向かっています。落ちついて飛行して下さい。」
旅客機の方はだいぶ緊迫した状態らしい。それに対して、敵さんは遊んでいやがるようだ。すぐにAAMを撃たずにいるのがその証拠だ。……目を覚まさせてやる。前方に旅客機の姿が見えた!俺はそのまま直進し、その後ろを飛んでくるエルジア軍機に襲いかかった。俺はパネルを操作し、試験的に搭載してきた高機動AAMを選択した。積んできたAAMよりも動きがいいうえ、射程距離が長い。レーダーロックをかけると、俺はトリガーを引いた。軽い振動と共に、4本の高機動AAMが白い排気煙を吐きながら飛んで行く。
「おい、何でISAF機がいるんだ!!」
「やばい、ミサイルだ。回避、回避!!」
今頃になってこっちに気がついたか。敵さんの4機編隊は慌てて回避行動を取ったが、うち3機はAAMの直撃を食らって火の玉と化した。残りの1機には上空から接近して、ケツをバルカン砲で吹き飛ばした。一丁上がりだ!
「メビウス1、北西方向から新手です。4機接近!」
人使いが荒いぜ本当に。急旋回し、今度は旅客機を後ろから追い抜いて敵の新手に向かう。ほどなく、敵編隊とすれ違った。Su−35!スホーイシリーズの最新鋭機まで出てくるとはな。さずかに動きがいい。ロックをかけようにもなかなかかからねぇ。俺は強引に旅客機と敵機の間に割り込んで射線を妨害し、旋回を繰り返して敵戦闘機を攻撃した。安全空域まではあと少し。低空を飛行している700便を狙っていたSu−35を叩き落し、残っている敵機を狙う。
「すごい……あの戦闘機、本当に1機で戦っている!」
旅客機パイロットのお褒めの言葉はとても有り難いのだが、結構大変なんだぜこっちは。向こうもなかなかしぶとい!
「コントロールよりメビウス1、支援機が今向かっています。そちらまでの到達時間、約3分です!」
「おいメビウス1、まだ生きてるか!俺の獲物も残しておけよ!」
レイピア09の減らず口まで聞こえてきた。安全空域まで、あとわずか!俺は残っている3機の敵機の真っ只中に飛びこんだ。鈍い衝撃。胴体に何発か食らったか!視界がブラックアウトしそうになる急旋回をして、敵の後ろに回りこむ。うまい具合に2機のケツに回りこんだ俺は、AAMをお見舞いした。2発とも命中し、コントロールを失った敵機は墜落して行く。残るは1機……と思ったら、レイピア09のF−15Cがちゃっかり撃ち落していやがった。
「今日は俺の勝ち、だな。」
仕方ねぇなぁ。バーの一番安いウイスキーを注文してやる。
「700便より、支援機のパイロットへ。本当にありがとう。何かお礼が出来ないか?」
「無事で何よりだ。ファーストクラスで使うワインでも一本もらおうかな。」
パイロットたちの笑い声が聞こえてきた。

「逃げられたか。」
旅客機とそれを護衛していた戦闘機の機影がレーダーの有効範囲から消えて行くのを見て、「黄色の13」はつぶやいた。
「どうやらこちらの戦闘機を撃ち落したのは「リボン付き」のようです。脱出したパイロットがそう言っているそうです。」
あいつか……コモナ諸島での空戦で8番機に攻撃を当てたパイロット。コールサインは……メビウス、だったか?どうやら俺の好敵手になりそうな相手がようやく現れたという事か?13番は不適な笑みを浮かべていた。

本ミッションにおける撃墜スコア
戦闘機10

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