ミッション13

ストーンヘンジの陥落により、連合軍の航空戦力の活動範囲は大きく広がった。これまでは難しかった偵察機での偵察活動が可能となったことにより、我が軍の情報収集能力は飛躍的に向上していた。そんな中、ベースに緊急通信が入った。偵察活動に出ていたU2偵察機がエンジントラブルを起こして引き返してきているようなのだが、それを察知したエルジア軍がベースへのルートとなるノーム幽谷にノイズジャマーを展開しやがった。そこで、俺の出番となった。どうやらU2がかなり重要な情報を握っているというのも裏にはありそうなんだが……。

俺の機体は既に調整を終えて、アイドリング状態に入っている。そして、メカニックスタッフには少し前からメーカーの技術者たちも加わっている。連合軍が大戦前に進めていた「新規整備計画」の一環として進められていたF−15の全面改良。その試作された機体の1機が、俺の専用機として配備されたのだ。F−15ACTIVE。カナード翼に独立可動式のノズル、機体のステルス化に火器管制機能の性能向上。現在の科学力で考えられ得る技術が込められた機体だ。この間試運転してみたが、かなりの出来だ。大型戦闘機のくせに小回りが効く。新開発のエンジン・ノズルの成果と言うべきか。まぁ、その分Gもすさまじくなってはいるんだが。この機体以外にも、F−22ライトニングUが4機配備され、1機はエンゼル01の乗機となった。

俺は、エンゼル01とオメガ03に上空警戒を命じて、ノーム幽谷に突入した。飛行船型のノイズジャマーがうじゃうじゃと浮かび、レーダーの機能は完全に停止している。こうなりゃ片っ端から片付けるまでだ。俺は目視飛行でノイズジャマーを潰し始めた。別に反撃をしてくるわけではないから楽は楽だが、とにかく数が多い。一体いくつのジャマーを展開させやがったんだ、敵さん。俺は幽谷の険しい断崖をくぐり抜け、手当たり次第にジャマーを潰していった。
「U2よりスカイアイ、幽谷まであと6マイル」
U2はすぐそこまで来ている。俺は急いでU2の侵入コースのジャマーを徹底的に破壊した。乱れていたレーダーの画像が徐々に戻ってくる。通常回線でも十分会話が出来るくらいまで妨害は収まった。やがて、上空からU2が降下してきた。
「U2より、メビウス1。援護に感謝する。」
そのとき、反応の戻ったレーダーに光点が4つ現れた。
「エンゼル01よりメビウス1、敵の追跡機が4機接近!1分で到達します!!」
おいでなすったか!しかも光点は非常に薄い。こっちと同じステルスってわけか!俺は幽谷から急上昇し、高度7000フィートまで一気に駆けあがった。青空に小さな影が見えたかと思うと、それはものすごい速度ですれ違った。俺はループを描くと、そのうちの1機に食らいついた。F−22!敵さんも持っていやがったのか。メーカーさんはこの戦争でぼろ儲けだな、これは。何だか無性に腹が立ってきた。速度を上げ、そのF−22に接近する。向こうも性能はかなりいいはずだか、こっちの機体の方が上だった。機関砲が火を吹き、新素材で作られた機体がへし折れて幽谷に落ちて行く。
「おい、何でISAF機がいるんだ!」
「ほっておけ、たかが1機に何が出来る。」
……俺もなめられもんだぜ。なら、その1機の恐ろしさを存分に味わってもらうか!どうやら、敵機のパイロットの腕はあまり良くないらしい。F−22とは部隊内で模擬戦闘もやっているが、あんなトロい機体じゃなかったはずだぜ。俺は立て続けに2機を落とし、そして最後の1機をとらえた。
「だめだ、逃げられない!誰か後ろのヤツをなんとかしてくれ!!」
錯乱してしまったのか、その敵機はジャマーに自ら接触した。そして炎に包まれてコントロールを失った機体は、そのまま岸壁に衝突していった。
……それにしても、凄い機体だ。今までのF−15Eだってなかなかのものだったけど、それをはるかに凌いでやがる。これなら、黄色の13番とも互角にやりあえる。俺はそう確信していた。そしてその日はそう遠くないうちに訪れるであろうことも……。

サンサルバシオンのベースにも交代要員が送られてきていた。予備の機体も届いてはいるが、細かい部分ではだいぶ補給が滞ってきている。それ以上に深刻なのはパイロットの腕だ。ベテランが引き抜かれて別の部隊に配属されて行くことで、全体的なレベルは確実に低下しつつある。天下の黄色中隊でも、背中をまかせられるヤツは少なくなったな……13番は、滑走路でトレーニングに励む隊員たちを見ながら、そんなことを考えていた。連合軍の侵攻は確実に進んでいる。この町での戦闘もそう遠くはないだろう。そのときには、あいつも必ず現れる。俺が待ち望んでいた、好敵手が。13番は、そう確信していた。

本ミッションにおける撃墜スコア
ジャマー27・戦闘機4

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