ミッション3

我が軍の残存部隊の撤退が進んでいる。俺たちの基地近辺に突貫工事で作られた駐屯地にも陸軍の生き残りたちが終結して再編成を待っている。だが、彼ら撤退部隊はエルジア軍のレーダー網にひっかかってしまう為、航空兵力による攻撃によって足止めされている部隊も多いらしい。作戦司令部は、俺たちの航空隊に「北の目」、シェズナ山脈に設置されている敵レーダー基地の攻撃命令を下した。あの険しい、山脈に行け、というわけだ。当然高度を上げれば敵のレーダーに引っかかるわけで侵入は山と山の間を縫うように行く必要がある。パイロットにとっちゃ、あまりやりたくない任務であることは間違いないな。

格納庫に行くと、整備班のおやっさんが陽気な笑顔で迎えてくれた。
「ようメビウス1、おめぇさんの注文通り、F−5Eの整備も整ってるぜ。」
先回のミッションで手に入れたクレジットで、俺は新たな機体を買った。F−5E。区分としては軽戦闘機になるが、安定性に優れた機体だ。贅沢を言えばF−16辺りが欲しかったんだが、現在の我が軍の補給状況では無理も言えないか。当面はこいつを活用することにするさ。出撃前の簡単なチェックをする。さすがというか、メカニックたちの腕は超一流のようで文句の付け所もない。尾翼にも俺のエンブレムが寸分たがいなく入っている。おやっさんたちに礼を言って、俺は新しい愛機のコクピットに乗りこんだ。

シェズナ山脈は高度4000〜6000メートル級の山々で作られた山脈帯で、この季節は雪に覆われて幻想的な風景を作り上げる。こうやって飛んでいると、つい目を奪われてしまいそうなほど、白い山々のコントラストが美しい。
「山に見とれて墜落するなよ。」
誰かの軽口に笑いが起こる。しかしここはコンバット・エリア。山の風景には相応しくない物体が2機、牙を剥いて襲いかかってきた。
「全機散開!爆装班はそのまま進め!」
スカイアイからの指示に従い俺たちの部隊は散開した。俺たちの斜め下を通過して旋回している敵編隊に機首を向ける。……Mig−29!さすがに儲かっている軍隊は違うらしい。噂の「黄色中隊」には最新鋭のSu−37が配備されているというし、この先ますます俺たちの戦いは厳しくなって行くのだろうか。ええい、今は目の前の敵を叩くだけだ!操縦桿を振り回し、狙いを定めミサイルを発射する……避けやがったか!ならこれでどうだ。俺はロックを固定せず一発だけミサイルを放った。慌てて回避した敵機の動きが、一瞬乱れた。そのスキをついて、ケツから機銃の一撃を見舞う。耐久性に優れているMig−29だけに少し手間がかかったが、まだまだ俺の敵じゃない。空にパラシュートの花が咲くのを見てから、再びレーダー基地へと方向を変える。もう1機の方は僚機が始末してくれたようだ。

尾根に沿って進む俺たちの眼前に、レーダードームが迫る。こんな高いところにどうやって作ったんだろうか。素朴な疑問が頭に浮かぶ。まぁ、こんどうちの軍が作る時にでも教わるさ。自分で勝手に結論付けて、目標のレーダー基地に狙いをつける。既に防空隊を落とされているレーダー基地など、対地攻撃訓練の的よりも狙いやすい。尾根線ぎりぎりの高度を保ちながら、俺たちの部隊は攻撃を開始した。雪山に、曳光弾とミサイルの排気煙が交錯する。そして赤い爆炎が上がり、レーダードームは吹き飛んだ。
「シェズナ1、どうした?シェズナ1、応答せよ!」
今更ながらの敵の交信が聞こえてくる。でももう遅い。俺たちはもう一方のレーダー群に既に到達していた。

この日わずか5分足らずの戦闘にて、俺たちの部隊は敵レーダー基地の壊滅に成功した。これで、部隊の再編成も進むことだろう。

本ミッションにおける撃墜スコア
地上目標14・戦闘機9

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