ミッション6

ついに時は来た。空からの補給ルートと、コンビナートからの石油供給を絶たれたエイギル艦隊は、全兵力を出撃させることも出来ず湾内のドックに半数が停泊している状況に陥っている。先日のコンビナート攻撃で部隊戦力の半数を失った我々だが、奴らを叩くチャンスは今しかない!現に別の石油供給基地からのタンカーがコンバース港に向かっているとの情報もある。先の戦闘で散って行った仲間たちの為にも、今回のミッションは負けられねぇ。普段は饒舌なレイピア09も、今日はいつになく気合が入ってるみたいで寡黙になっている……あんまり似合わないのだが。

ハンガーでは爆弾と対艦ミサイルを満載したA−10が出撃を待っていた。前回の戦闘で穴だらけになっちまった機体も、すっかり元通りになっている。変わったところと言えば、前回の戦いで戦死した新米たちのエンブレムをコクピット下に貼ってもらったことくらいだろうか。……おまえたちの仇は必ず取ってやるからな。しばらくステップに足をかけたままエンブレムを見ていたら、エンゼル01がやってきた。彼女の機体は今回からF−16に変わっている。
「今回も、隊長を必ずお守り致します。」
何だかそう面と向かって言われると非常にこそばゆい。
「おまえこそ、俺のケツばっかりに気を取られて、自分の後ろを見忘れないようにな。」
にっこりと笑って敬礼すると、彼女は自分の乗機へと駆け出していった。俺もヘルメットをかぶり、愛機のコクピットへと滑り込んだ。

今回のミッションは他の航空基地からの連中も参加していて、スカイアイはだいぶ忙しそうだ。俺たちのルートは、こっちに気がついて湾を脱出しようとしている一部の艦隊を叩いた後、内陸部のドック群を徹底的に叩くルート……一番対空陣地やらのお出迎えを受けるルートになっている。でもまぁ、腕が鳴るってもんだ。艦隊に向けて機首を向けた俺たちの部隊に敵の防空隊が向かってくる。雑魚の相手はルーキー、いや、もうこの呼び方は失礼だな、オメガ01とスパロー02にまかせ、海面スレスレの高度を保ち敵艦隊に迫る。やがて水平線に黒い影がいくつか見え始め、エイギル艦隊がその姿を現した。俺たちは手筈通りいくつかのグループに分かれ、それぞれの目標に肉薄する。こっちの姿を捉えたイージス巡洋艦からレーダーロックがかけられけたたましい警告音が響き渡るが、そんなモンに構っちゃいられねぇ。目前に迫った敵戦艦の艦橋に狙いを定めて、腹に抱えた爆弾を投下する。エンゼル01も対艦ミサイルを使って戦艦の対空砲台群をつぶしたようだ。俺の放った爆弾は艦橋部を直撃し、戦艦は瞬く間に爆炎に包まれた。またいくつかは甲板を突き破り弾薬庫を直撃したようで、数秒後敵戦艦は大爆発を起こし真っ二つにへし折れた。部隊の面々から歓声が上がる。旋回した俺は、戦艦の後ろに控えていた敵空母にも狙いを定め、艦載機が当分は発進出来ないよう甲板と艦橋に爆弾をお見舞いした。たちまち空母は航行不能に陥り、漂流を始めた。
「まさかエイギル艦隊が沈められるなんて……。」
敵さんの落胆した声が通常回線から聞こえてくる。艦船を叩かれたことで、エルジア軍は明らかに浮き足立っていた。

艦隊を駆逐した俺たちは、内陸部のドックへと向かった。前回同様、エンゼル01が敵護衛機の気を引いてくれるおかげでこっちは地上目標に集中できるってもんだ。両脇をブロックで囲まれたドックに入っている敵艦には上空から垂直爆撃を加え、逆にシェルター型のドックに入っている艦船には水平爆撃を食らわす。まぁ、陸に繋がれている艦船なんて、訓練の的みたいなもんだが。ただ至るところに配備された敵さんのSAMだけは手を焼いた。放っておいたらバカスカ撃ってきやがって。
「メビウス1、敵の新手の艦隊発見!行けるか?」
レイピア09からの通信が入る。あらかたこのエリアの艦艇と施設軍を破壊し尽くした俺たちは、機首を南西方向に向けた。全く、休む暇もないぜ。
スカイアイの誘導に乗って、俺たちは敵の新手へと迫った。ミサイルボートの手荒い歓迎を潜り抜けると、ドックから脱出しようとしている艦艇を多数発見した。させるかよ。俺は先頭をのろのろと航行している輸送艦に狙いをつけ、ミサイルをお見舞いした。航行不能となった輸送艦は湾をふさぐ形でとまってしまい、後続艦の進路を阻む。
「くそっ!海にも出られないのかよ!」
「総員退避!退避!!」
通常回線には敵艦隊の混乱ぶりが聞こえてくる。俺たちは残っていた手持ちの爆弾やらミサイルをありったけばらまき、敵艦隊を壊滅させた。

「スカイアイより、各機。ミッションコンプリートだ。よくやってくれた。」
スカイアイから作戦終了の通信が入る。歓声が上がり、誰かの調子の外れた国歌がヘッドホン越しに聞こえてくる。それはしだいにパイロット達の合唱に変わっていった。同日、エルジア軍は艦隊兵力によるノースポイント攻略作戦の無期限延期を決定し、エイギル艦隊の残存兵力はコンバース港を撤退した。我が軍の圧倒的勝利であった。

本ミッションにおける撃墜スコア
地上施設53・船舶32・ヘリ1・戦闘機9

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