ミッション8

連合軍は、上陸作戦を敢行する準備として、偵察衛星をコモナ諸島に残っているロケット施設から打ち上げることを決定した。しかし、そのロケットを搭載した船舶は敵の偵察隊に見つかっていた。こちらの打ち上げ準備を待って、敵軍はロケットを施設ごと一網打尽にすべく大規模な航空戦力を送りこんできた。これまであまり経験したことのないような大規模な空中戦が始まろうとしていた。

エイギル艦隊の壊滅によって、ようやく艦隊兵力の運用が可能となった我が軍はわずか2隻しか残っていない航空母艦の片割れを今回の作戦に投入した。俺たちもその空母をベースに、今回の作戦に参加している。俺たちの部隊のほか、空母の発着艦が可能な第405航空隊と201航空隊も、今回のミッションに参加していた。編隊を組んで飛行する俺たちの部隊は、早ロケットの上空に到達していた。レーダーには、こっちに接近する光点が無数に映っていた。なんて数だ。
「よぉ、メビウス1。何だか、子供の頃に見た映画を思い出さないか?」
レイピア09の言う通り、俺は昔見た映画の1シーンを思い出していた。初めて開発されたロケットを奪い取るべく大軍を送りこむ隣国、それを守るべく戦う兵士たち、そしてその激戦の中、何とか打ち上げを成功させようとする宇宙軍のスタッフたち……。
「あらすじ通りにいけば、打ち上げが成功して大団円、だったな?」
「そういきたいもんだぜ……敵さん、おいでなすった!!」
トライアングル編隊を組んでいた敵先鋒が散開する。史上稀に見る空中戦の幕が切って落とされた。

レーダーロックをかけ、トリガーを引き、警告音を聞いては急旋回して次の獲物を追い求め、また再び狙いをつけて、獲物を狩る。5機を落とした後は何機を落としたのかも覚えていなかった。ロケットを破壊しようとする者、それを阻止しようとする者の激突は熾烈を極め、ISAF軍のパイロットの中には自らの機体を武器にして特攻する者も出ていた。
「くっそう!一体何機いやがるんだ!!」
誰かの台詞は、この戦いに参加しているすべてのパイロットたちの心情を代弁していた。俺はその中で、「黄色」のSu−37を見つけた。あのときの奴らか!体が熱くなる。俺は手だし無用とエンゼル01に告げると、黄色に襲いかかった。相変わらず信じられないような動きだが、ついていけないうごきじゃあない。F−14Aは素直に言うことを聞き、奴を追い回す。ようやくロックをかけた俺は、AAMを奴のケツめがけ発射した。敵もさるもの、直撃はかわしたものの破片を大量に浴びて片方のエンジンから煙を吹いている。
「おい!黄色が煙吹いてるぜ!!」
「くそぅ、誰か、俺のケツに当てた奴を探してくれ。どんな奴だ!!」
ちょっといい気分。俺たちの部隊も盛り上がっているのが分かる。
「スカイアイよりメビウス1!敵のB2爆撃機が西から侵入した。そっちに向かっている!!」
B2ステルス!?くそったれがこっちのレーダーには映らねぇじゃねぇか。俺はエンゼル01とオメガ11を従えると、乱戦の中をかいくぐり西へと機首を向けた。レーダーに映らない奴らを見つけるには目視しかない。幸い雲は出ていないが……いた、奴らだ!!青い空に、黒い点が6つ。それは急速に大きくなり、こっちへ向かってきていた。一度上昇して相手のトップポジションを取った俺らは、無防備な背中をさらしている爆撃隊に襲いかかった。
「畜生!まだ戦闘機が残っているじゃないか!!」
敵さんの悪態つくのが聞こえてくるが、もう遅い。俺たちは立て続けにB2ステルスを蜂の巣にして撃ち落していた。爆撃機相手にミサイル使うのはもったいないってもんだ。
「コントロールより、発射まであと60秒!!」
敵の航空部隊はロケットまであと1マイルに接近している。もうひとふんばりだ!!もうミサイルは残っちゃいなかったが、機関砲をお見舞いして敵戦闘機を血祭りに上げて行く。エンゼル01を狙っていたMig−29のコクピットを吹き飛ばし、僚機を追い回している敵機の間に割り込んで、混乱を誘う。その60秒間はかなり長く感じられた。
「3……2……1……発射!!」
打ち上げ台が煙に包まれる。少し遅れて、ロケットがその姿を現し猛烈な勢いで上昇していく。コントロールやパイロット達の歓声がヘッドホン越しに聞こえてくる。やがて40000フィートに達したロケットは、安全圏に到達した。ロケット破壊に失敗した敵航空隊が撤退していく。
「基地に戻ったら大団円、だな。」
レイピア09にそう話しかける。
「ちっ。またおまえに飲まれるのね、俺は……。」
レイピア09のぼやきに、部隊の笑い声が重なった。

この日、俺たちはまだ知らなかったが、「リボン付」の所属する戦闘機部隊が、エルジア軍航空隊における要注意部隊に指定された。

本ミッションにおける撃墜スコア
戦闘機30・爆撃機6・輸送機1

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