○masamuneにとってのエースコンバット、とは?
友人から借りてきて初めて「エースコンバット」をプレイしたとき、私は衝撃を受けた。高校時代、X68000のゲーム作りもやっていた私にとって、その作品は当時私が「こんなこと出来たらいいのになぁ」と考えていたことが凝縮された作品だったのだ。現存する数々の戦闘機、それらがよりリアルに画面に描かれ、様々なミッションをクリアしていくというフライトシミュレーター。夢にまで見たものが、そこにはあった。実際、初期のPSゲームとしてはかなり完成度の高い作品だったのではなかろうか?
その衝撃から数年。ハードをより高性能なPS2に移して、エースコンバットは新たな衝撃となって私の前に現れた。「ACE COMBAT 04 シャッタード・スカイ」。前作、「エレクトロスフィア」は少々先の未来を舞台にした作品として、またPSというハードのある程度限界ギリギリのラインまで到達した作品だったように感じたが、それでも映像・迫力は「1」をはるかに凌駕するものであり、正直私自身がエレクトロスフィアに、吸いこまれた。しかしながら、「04」はそんな私にさらに「ガツン」をしてくれたのだ。ストーリーを知ったのは購入する寸前だったのだが、その映像を見たとき、現実と虚像の判断が一瞬つかなくなりそうになった。とうとう、コンピューターグラフィックスはここまできたんだな、という感動を覚えた。
そしていよいよ「04」をプレイ。そして思った。「これは、戦場を駆け抜けた人間ドラマでもあるんだ」、と。ムービーで展開される一人の少年と黄色小隊の人々の物語。それだけじゃない。ミッション中にはスカイアイをはじめとして、部隊の隊員たち、敵航空隊のパイロット、地上部隊の敵味方の通信が乱れ飛び、撃墜された戦闘機のパイロットの悲鳴が時折響く。自分が目標に捕らえた敵機のパイロットの救いを求める声を聞きながら、バルカン砲のトリガーを引く。振動、そして爆発。何の為に戦うのか、それすら忘れてしまいそうな出口の見えない戦いの中で、生き残るために戦う。そんな無数の兵士たちの思いが、聞こえてきそうな気がした。最終話、「黄色の13番」との最終決着を着け、ようやく平和が戻ったはずのユージア大陸を再び震撼させるエルジア残存軍のクーデター。かつてこの地を襲った隕石群の墜落を再び起こすために作られた「メガリス」を駆使する士官たちに、笑い話みたいだが義憤を覚えたものだ。こいつらだけは絶対に許さない、と。
そうしてやり終えたファーストプレイのときの思いを、文章にしたいと思った。そして出来たのが、このページで掲載している戦闘日誌だ。今回、自分が所属するISAFにはキャラクターが存在しないということもあり、「2」をモチーフにしつつ、ムービーとは反対にISAFの側からこの物語を見たらどうなるのかな、という観点からこの日誌は書かれている。個人名をつけると何だかイメージが損なわれるので、敢えてコールサインのままキャラクターを使っている。まぁ、主人公とヒロイン、そしておちゃらけているけどいざという場合は役立つ戦友、という組み合わせは定番ということで(笑)ご容赦してほしい。
話を戻そう。主人公メビウス1は、実際の所エルジア軍と戦う連合軍のほんの一パイロットに過ぎない。しかし、戦いが進むにつれて彼はプレイヤーの手により(笑)類稀なる技術を発揮し、厳しい戦況を幾度も覆し連合軍を勝利に導く「点」となる。たった1機の戦闘機が、たった一人のパイロットの存在が、やがて両軍のミリタリーバランスを逆転させ、ついには戦況を完全に覆してしまう。最終的には名実ともに「英雄」の名を彼が手にするのは、もしかしたらプレイヤーへのプレゼントだったのかもしれない。
物語を書いていく中で、私が1番苦しんだのは「4番」の戦死のシーンだった。ミッションの中では、4番はメビウス1の攻撃を受けて戦死してしまう。ただ、そうするとムービーに出てくる「……だが、彼女の機体は、本来交換すべき部品を交換していない機体だったのだ……」というモノローグと今一つ話がつながらない。さらに、「自分と対等に渡り合える好敵手」を求める13番が、4番の仇を取るために主人公に挑む、というのは劇中の13番の垣間見える人格となんだかかけ離れているような気がしたのだ。色々考えた末の結論は、撃墜ではなく、機体トラブルによる戦死、となった。実はこれには元になるイメージが私の中にあった。それは、機動戦士ガンダム0083に登場する、バニング大尉の戦死、そのシーンである。アルビオンへの帰還中、シーマとの戦いで損傷したジム・カスタムが最後の最後で爆発を起こし、コウやキースの目の前で宇宙に散る彼。その光景が、なんとなく4番の死のシーンにダブるように、私には見えたのだ。人の死に様を考えてしまう自分が、このとき少し恐かった。
ところで、多分戦闘日誌を読んでくれた方はお気づきだと思うが、エンゼル01を登場させたのには理由がある。それは、主人公の好敵手となる「黄色の13番」と同じ環境を作りたかったからだ。メビウス1が最終的にはエンゼル01と恋仲になる、という展開には多分賛否両論あるのは百も承知だったが、「黄色の13番」とそれに寄り添う「4番」をイメージしたとき、何となくメビウス1にも恋人候補がいた方がいいよな、と思ったのだ。
いちおう、エピローグを書き終えた時点で、戦闘日誌は完結、となっているが、正直まだまだ書きたいこと、やってみたいことは山ほどある。黄色中隊のことも書いてみたいし、かなうのなら戦闘機の映像を作って、両軍の航空部隊図鑑なんてものも作ってみたいと思う。そこには、まだまだ表に出てこない「人間ドラマ」が隠されている。私はそう思うのだ。
さて、エースコンバット05の製作開始がいよいよ明らかになってきたわけだが、今度はオンラインゲームという話も聞いている。そうなると、オンライン用の設備を買わないとなぁ、という気もしてくるが、今度はどんな物語が繰り広げられるのか楽しみである。……その前に、まだやり残したことが一杯ある「04」を存分に味わっておく事にしよう。そしてまた、新しい空を駆ける日を楽しみに待つとしよう。
AD2002.2.22. 15:30 TOKYO
滑走路から離陸する旅客機を見上げながら by masamune