ディエゴ・ギャスパー・ナバロ 今回の物語の裏の主人公と呼ぶべき男。レサス軍総司令官として、「オーレリアによる不当な搾取」に対する復讐という大義名分を掲げて、侵攻作戦を指揮する。究極兵器グレイプニルを中心とした侵攻部隊は迎撃体制の整わないオーレリア軍を各地で次々と打ち破り、わずか10日でレサス軍はオーレリア国土の9割以上を占領下に置くことに成功したのである。 オーレリアの平和の象徴とされたガイアスタワーに軍総司令部を置いたナバロは、連日のように豪勢な宴を催し、軍関係者だけでなくオーレリアの民間企業や世界から集まってきた報道陣を招き、連日のように快進撃を続けるレサス軍の活躍を、ステージに設けた大型ビジョンで放映している。もはやオーレリア軍に期待するものは無し、と見限った民間企業や軍人、官僚たちを相手に、ナバロは得意げに語り続ける。レサスの兵器と兵士の優秀さを――。 国際社会をも巻き込んで、レサスによる侵略行為の正当性を訴える彼の真の目的はどこにあるのか?それが明らかになるとき、物語はクライマックスを迎えるのである。 |
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ペドロ・ゲラ・ルシエンテス レサス空軍第1航空師団第3戦闘飛行隊「サンサルバドル」隊、隊長。レサス軍航空部隊のトップエースの一人として部隊を指揮すると共に、ガイアスタワーにおいてはディエゴ・ナバロの補佐役をも務めている。ナバロの信頼の厚い彼は、ナバロの進めるオーレリア占領計画の細部にまで関わっている。 一方で、オーレリア軍のウィリス・マクレーンとは旧知の中であるようだ。ルシエンテスはナバロの掲げる大義をそれほど重視してはいない。彼の興味は「空軍戦力」の強化に注がれているからだ。つまり、ナバロとルシエンテスは互いを巧みに利用し合っている関係と言っても過言ではない。 長身の上に乗る二枚目のマスクは、レサスの人々だけでなく、オーレリアの人間をも魅了する。だが、その冷たい光を放つ眼光を蛇に喩えて嫌う者も少なくない。 |
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アレクシオス・ナルバエス レサス軍参謀本部に所属する士官であり、対外渉外・広報を主に担当している。つまり、彼はナバロの演出役であり、時にスピーカーとなってレサスの正当性を世界に訴える言わば窓口の役割を果たしていた。レサス軍の進撃の模様をライブ映像で伝える手法を考案したのも彼である。彼の広報能力は尋常なものではなく、戦闘機にライブカメラを搭載させて飛ばすだけではなく、軍にとって不利益なシーンは徹底的に排除・編集する工作を行って、しかもそのことを気取られないようマスコミたちに提示する程である。このため、大戦末期に至るまで、レサス国民たちは情報統制に踊らされ、レサスの優勢を信じ続ける羽目となった。 彼は熱狂的な英雄崇拝者であり、隣国オーレリアを併呑したナバロを英雄として尊敬し、そして英雄に仕立てるために全てを注ぎ込む。そう、彼にとってはナバロの掲げた大義名分に従ってオーレリアを侵略する行為は正義に他ならないのである。そのために、彼は戦争中に引き起こされる様々な悲劇を闇に葬るべく暗躍するのである。 彼もまた、戦争の犠牲者の一人と言うことが出来るかもしれない。彼の末路は余りにも残酷なものとなるのだから。 |
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グリムワルド・ロビンスキー 多国籍企業連合体「ゼネラル・リソース」の軍事開発部門顧問の一人にして、ナバロの交渉窓口を担当している男。ルシエンテスとのパイプに繋がっている男。さらに、ゼネラル・リソースと「彼ら」へと繋がる人物である。レサス軍の大規模軍拡を全面支援し、グレイプニル建造においても多大な協力を惜しむことなく行った経緯を持つ。無論それは、ナバロを支援することによって得られる「利益」をゼネラル・リソースが認めていたからに他ならない。ナバロ自身が戦争の帰趨にあまり興味が無いのと同様に、ロビンスキー自身もレサスの戦争にほとんど関心が無い。彼にとっての最重要事項は、この戦争に投じられた様々な兵器の実戦データと検証データの回収にあるのだから。 |
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ハビエス・スルナンデ グレイプニル艦長。階級は少将。 もともとは海軍の所属であるが、航空機というよりも艦隊運営能力を必要とする空中要塞の司令官として抜擢され、艦長に就任する。その指揮ぶりはグレイプニルの持つ圧倒的な性能を発揮するに相応しいものであった。開戦から10日間の間に、レサス軍がオーレリア軍に壊滅的打撃を与えることに成功したのは、彼の功績によるものである。 既に終わりの見えていたはずの戦争。しかし、オーレリアに現れた南十字星を背負うエース、そして彼らと共に戦うシルメリィ隊の存在を見逃していたことが、後に彼の命運を決することになる。黒煙と炎に包まれながら墜落していくグレイプニルの中で、彼の胸に去来したものは何だったのだろう? |